其ノ仇 ページ9
「……おかしいですねぇ。薬を処方してからもう2週間も経つので、そろそろ完治してもいい頃なんですが…。」
『…………。』
なぜなのかと思案している胡蝶さんに、だらだらと嫌な汗が伝う。
「塗り薬は塗っていますし、薬も飲んでいる筈なのに…。飲み薬が合わなかったんですかね…。」
それは、例の毒が本来なら完治しているはずなのに(さっき知った)、いっこうに抜けないので、これは如何なものかという事で、胡蝶さんが真剣な顔をして診察しているのだ。
『え、あの…飲み薬があわなくても、塗り薬を塗ってれば治らないんですか…?』
まさか、飲み薬を飲まないと治らないとか…。
「治るわけないでしょう。塗り薬はあくまでも気休めです。飲み薬が効かないと治りませんよ。」
『(ウソでしょ…)』
これは飲んでいなかったのがバレたらとんでもない事になるわ…。
ガラガラ
「胡蝶、邪魔するぞ。」
誰だよ、勝手に個室に入ってきた無礼者は。
ノックもしないで入ってきた無礼者は何奴だよと思い、ドアのほうへ顔をむけた。
『きゃぁぁぁ…!!!』
「次の合同任務の打ち合わせに来た。……その派手に喧しい野郎は…確か、夢宮とかいう変な野郎だったか?」
『………ッ!!!う、うず、うず…宇髄さん!?』
なんでこんな所に来るんだよォォォォ!
推しにあったら、叫んじゃうから会いたいけど会いたくなかったんだよ…!
なんだよもう、どうしてそんなに格好いいんだよ!
顔を合わせるのが恥ずかして、俯いた。絶対、耳赤くなってるのバレてるわ。恥ずかしくて死にそう。
「あらあら。」
察した胡蝶さんが、微笑んでいる。
件の本人は、足音もたてずに此方に近づいてきた。
そして、私の顎を掴んであげさせて、無理やり視線を合わせられた。
ニヒルな笑みを浮かべながら、
「なんだお前、俺と会う毎に叫びやがって…。もしや…
俺のこと、ド派手に惚れたか?」
『ひぇ…………。』
頭が真っ白になった。
かぁぁ…と物凄く顔が熱を帯びていく感覚がした。
「そこまでですよ。」
「なんだよ胡蝶。派手に面白い所だってゆーのに。」
愉快そうな顔をしながら、宇髄さんは顎を掴んでいた手を退けた。
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りん(プロフ) - (゜ロ゜)はーい(* ゚∀゚) (2020年4月9日 19時) (レス) id: f011f41edf (このIDを非表示/違反報告)
コロン(プロフ) - りんさん» あらら…それは微笑ましいですね笑 まあこの後の展開に楽しみにしていてください*_ _)ペコリ (2020年4月9日 2時) (レス) id: 707515b197 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - なるほど……読みながらえーと!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!してましたそしたら姉にうるさいて言われ(´;ω;`) (2020年4月9日 1時) (レス) id: f011f41edf (このIDを非表示/違反報告)
コロン(プロフ) - りんさん» そう言っていただけて嬉しいです!ギャグも交わしたいと思っているんですが、どうしても主人公を可哀想な方へ引っ張って書いちゃうんです…笑 (2020年4月9日 1時) (レス) id: 707515b197 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続きが楽しみにしてます( ^▽^)なんか主人公が可哀想に見える……(´;ω;`) (2020年4月9日 1時) (レス) id: f011f41edf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:受験生のりな | 作成日時:2020年4月6日 20時