企画【設定集-5】 (ページ42)

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├備考(過去) ページ42

 

◆過去

とにかく彼女の最も恵まれない点といえば、美食家ロリコンカニバリズムに誘拐されたり、元カレが野良カニバリズムで彼女を食おうとして近づいた輩だったりと、色々騙されまくりの人生だったことだろう。

そのたびに逃げ伸びてきた空蝉だったがとある日、ついに実害のともなう事件が起きてしまう。うたた寝をしている間に、仲の良い男に耳と指を齧られてしまったのだ。
  
なんとかして助かったのだが、錯乱状態の男は逃走。実際に身体の一部を食われたことで、彼女のカニバリズムへの恨みは一気に膨れ上がった。普通ならトラウマになってもおかしくないはずだが、餌として騙され続けた過去への鬱憤が爆発し、完全に怒りが恐怖を支配していた。「あんの野郎ぜっって〜〜地獄みたいな目に合わせてやる」と、復讐を決行することを誓う。

とりあえず生ゴミやら馬糞やらを汚いものをしこたま集め、飢餓で錯乱する彼を誘き出し、異能力を使い………という形で。

結果復讐は成功し、その彼は死んだ。詳細に描写するとおそらくR指定がつく有様である。諸々事故として処理され少年院にぶち込まれることはなかったが、「殺すつもりなかった」とも後に供述している。

彼女は今もその光景を覚えている。地獄を見せてやる、仕返ししてやる。そのつもりで用意したものに、彼は泣きながらくらいついていた。
そして確かに聞こえたのだ。「ごめんなさい、愛している」と。

涙を流し、自分の名前を叫び、何度も何度も虚構の自分に対して謝り倒す姿に、彼女はただ呆然としていることしかできなかった。そうしている間に、いつのまにか彼は喉を詰まらせ、生き絶えていたのである。

──後から知ったことだが、彼は飢餓が来るたびに自分以外の人を襲い続けていたのだという。なぜ？自分を襲わないために、他の罪を重ねてまで？だとすれば、そこまでして自分と居たがった彼を、自分は頭ごなしに最悪の形で拒絶し、殺めてしまったことになる。

その事実が彼女にとってはだいぶこたえたらしく、今でもたまにフラッシュバックするんだとか。事件をきっかけに元々一人暮らしの才能がなかったのが、一層ちゃらんぽらんになってしまった。彼女は人間とカニバリズムの共存の難しさを痛感し、また人を喰らうことでしか生きていけないカニバリズムを憐れむようにもなった。