９６話 ページ47
A side
美味しい。とても美味しいケーキ達
でも…今食べているショートケーキは美味しけど
何だか酷く悲しく思える
《お母様！このケーキ美味しいね！》
《これはショートケーキっていうのよ？》
《Aに喜んでもらえて嬉しいぞ〜！》
そうだ、ショートケーキを初めて食べた時
お父様とお母様と一緒だった
あの頃、お母様は私に笑って下さっていた
あの頃、お父様は私を自由にして下さっていた
どうしてこうなったのか
私もどうかしてしまった
ルヴェーネの城の自室に閉じ込められ
心が歪んでしまったのか
お父様とお母様を、あまり良く思えなくなった
それは…実の子供としてどうなのだろう
そう思うと…また涙が出てくる
目の前のグルッペンは悲しそうな顔をする
思わず口を開いた
『そんな顔しないで？』
gr「っ……それはこっちのセリフだ。俺は…俺達はお前を笑顔にしていたいがために毎日過ごしている様なものだ…Aが悲しい顔をするのなら意味が無いだろう…」
『っ……』
私が悲しめば彼等も悲しむ…
その事実に気付いていたのに
私は悲しんでばかりいる
どれほど彼等を悲しませているのか
影で泣いているのも知っているのだろう
gr「…お前が悲しんでいるのは過去の事だろう？…今を見て見ないか？」
その言葉で、グルッペンと目を合わせた
青く透き通った瞳は私を射抜き
心を見透かすようだった
『あぁ…そうよ…私は過去ばかり……今がこんなに幸せなのに…』
また涙がこぼれていく
落ちていく雫は机を濡らす
折角の綺麗な机を汚してしまうと
持っていたハンカチで涙を拭った
…よし
『…ごめんなさい、私、もう少し前を見るわ。今はこんなに自由なのだから…皆との時間を大切にして…泣かないようにする』
そう覚悟を決めた
私は過去を引きずっている
きっとこれからもそうかもしれないけど
少しは前を向こうと思う
そして…皆と別れが来る前に
たくさん会話して、たくさん仕事して
沢山笑い合おう
目の前のショートケーキの最後の一口を
私は躊躇いなく口に入れた
今度こそ、そのショートケーキは
甘くて美味しいケーキだった
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斬(プロフ) - しおりんさん» ありがとうございます…！今はこちらは温め中ですけども、更新再開はさせますので暫しお待ちを〜(*^^*) (2020年1月12日 17時) (
レス) id: 72381179a9 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん - コメント失礼します〜このシリーズも、他のシリーズも全て面白いです♪これからも頑張ってください(*＞∇＜)ﾉ (2020年1月12日 15時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
斬(プロフ) - ゆうりさん» 私もここまで続くと思ってませんでした…コメありがとうございます(*^^*) (2019年8月10日 21時) (レス) id: 72381179a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - こんなにたくさん書く気力が無い (2019年8月10日 20時) (レス) id: 82279f1e63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：斬 x他1人 | 作成日時：2019年5月17日 21時
