６５話 ページ17
A side
階段をのぼり、廊下を歩く
朝の日差しが廊下の窓から入り
外の高い木の葉を鮮やかな緑に照らしている
まだ朝は肌寒いけれど
昼間になると夏を感じられる暑さである
『あ、ここか』
昨日ぶりのグルッペンさんの部屋
とても重厚な作りの扉は
彼がこの国の総統である威厳が出ている様
設計した方はこの方を
尊敬してらっしゃるのかしら
念の為にノックをする
コネシマさん同様、返事は無い
金色のドアノブを捻り、扉を開ける
黒の多いその空間は
大人な雰囲気を出していて
まだ大人の仲間入りをして２日の私には
その大人さに憧れる
ベッドに目をやれば
グルッペンさんは顔まで布団をかぶっていて
金色の髪が少し覗いていた
『グルッペンさん。朝です、朝食が出来てます』
近づいてそう言えば
「ん”……」と少し唸り、身をよじる
まだ寝ているようで、目は閉じていた
コネシマさんも端正な顔立ちだと思ったが
今思えばこの城のメイドさんも幹部の方々も
皆綺麗だな、ふとそう思った
眼鏡をかけていないその顔もまた綺麗で
少し見とれてしまう
起こさなければと思い
私は、また手を掴まれたらどうしようか…
と考えながらも手を伸ばし
グルッペンさんを揺すった
『グルッペンさん。トントンさんがお怒りですよ』
するとようやく起きたのか
重そうに上半身を起こし、左手を額に当てる
そしてベッドの上で胡座をかいて座った
gr「…いや、すまん…おはよう」
『はい。おはようございます』
まだ半開きの目を擦り、とても眠そうだった
側の棚にあった眼鏡ケースを渡すと
彼はそれを受け取り、眼鏡をかける
『昨夜はいつ頃までお仕事なされてたのです？』
と聞けば「２時には寝た」と短く返ってきた
『お疲れ様でした…朝食が出来ていますよ。もう皆さんお揃いですから、食堂へ行きましょう』
gr「あぁ………なぁA…」
『？何でしょうか』
扉を開けようとした手を止め
グルッペンさんに振り返ると
先程の眠そうだった顔とは一変し真面目な様子
そして口を開いた
gr「Aには…何か無いのか…？」
『…？何かとは何ですか…？』
gr「いや……俺にもわからない…すまない、変な事を聞いた…」
『いえ…それでは行きましょう』
私とグルッペンさんは
部屋を出て食堂へ向かった
私は少し後ろを歩くグルッペンさんの
悲しげな視線に気付かなかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
斬(プロフ) - しおりんさん» ありがとうございます…！今はこちらは温め中ですけども、更新再開はさせますので暫しお待ちを〜(*^^*) (2020年1月12日 17時) (
レス) id: 72381179a9 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん - コメント失礼します〜このシリーズも、他のシリーズも全て面白いです♪これからも頑張ってください(*＞∇＜)ﾉ (2020年1月12日 15時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
斬(プロフ) - ゆうりさん» 私もここまで続くと思ってませんでした…コメありがとうございます(*^^*) (2019年8月10日 21時) (レス) id: 72381179a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - こんなにたくさん書く気力が無い (2019年8月10日 20時) (レス) id: 82279f1e63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：斬 x他1人 | 作成日時：2019年5月17日 21時
