四十三周目 ページ44
「え、」
綺麗な翡翠色の瞳が真ん丸になったかと思えば、軽く開いた口から声が漏れた。
「……え？まじで？」
信じられないって顔で見てくる渉。なんていうか、物凄いあほ面だ。
『…え、う、うん…？』
あれ、私ちゃんと伝えたよね？と不安になる。いくら遊園地と言えど、まさか聞こえてないなんてことはなかったはず。
「……………え、好きなの、俺のこと？」
『う、………ん』
頷いてからなんだか物凄く恥ずかしくなる。ていうか何言ってるんだこの人。
「ほんとのほんとに？断るの面倒だからとかじゃない？」
…ああぁ、もう、この人は。
『だから！私は渉のことただの幼馴染だなんて思ったこと1回もない！ずっと、好きだったんだから！！』
半ばやけくそのように叫ぶと、渉は呆気に取られたようにぽかんとして。
それから、…一気にぼんっと赤くなった。
「…………………まじか……」
か細い、小さな声。顔は下を向いてて見えないけど、耳はりんごみたいに赤い。
「…絶対、断られると思ってた……」
『え、』
「だって、…幼馴染だから、意識されてないかなって。ずっと一方通行、って思ってたから、なんか信じられなくて」
…そうだった。
私が渉を好きなのと同じで、渉が私のことを好きだって思ってくれてるのなら、きっと不安だったんだろう。
私がずっと辛くて苦しくて、悩んでた時も、もしかしたら渉は、同じ気持ちだったのかもしれない。
…強いように見えて、ほんとは不安がりなんだ。渉は。
いつも強がって、俺に任せろ、なんて言うくせに、1人になった途端抱え込んじゃう人なんだ。
『…ふふ、』
思わず笑いが零れて、渉が顔を上げる。
『…渉のそんなとこも、私は好きだよ、…なんて』
「………は、」
じわじわ、また赤くなっていく渉の頬。
「…っA、」
渉の瞳に、私が映る。
「…キス、してもいいですか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
直刃 - 完結おめでとうございます、！私はなんといってもたぬきさん推しでして・・・この作品、凄く大好きなんです。なので続編、是非作っていただけると舞い上がります！！ (2018年3月23日 0時) (
レス) id: 461041a079 (このIDを非表示/違反報告)
moka*(プロフ) - 完結おめでとうございます！私は続編読みたいです！ (2018年3月15日 11時) (レス) id: 26fe5d4713 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 完結お疲れ様でした！私は是非読んでみたいです！ (2018年3月14日 18時) (レス) id: a4c1cc0525 (このIDを非表示/違反報告)
Star~ - 初コメです！付き合ってからのお話も読んでみたいです！ (2018年3月14日 14時) (レス) id: 0bb5a78bda (このIDを非表示/違反報告)
黄衣(プロフ) - 藍さん» 藍さんありがとうございます〜！キメるところはキメるたぬきさんですね…！ (2018年3月13日 20時) (レス) id: c21a9e51ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黄衣 | 作成日時：2017年9月4日 18時
