Sing a song. 【歌い手短編集】

お酒 *センラ* ページ19

A)もぉやだ〜、やってらんない！






投げやりに言って、Aはぐたーっとテーブルに上半身を投げてチューハイの缶を置く。






その横には空っぽの缶が何本か転がっていて、Aのシャツに少し液体が零れていた。






センラ)はいはい、そろそろ終わりにしぃや






俺は零れたアルコールを拭きながらまだ顔を上げないAに言う。






隙間から見えるAの頬は朱に染まっていて、これは二日酔いコースやなぁ、と内心ため息。







Aは普段弱い所を見せない強がり女子なんやけど、たまに俺の家に来て愚痴会という名の飲み会を開く。






仕事の愚痴を言ってる間にお酒はどんどん進んで、結局今みたいにダウンしてしまう。






その後片付けをするのも、Aを送り届けるのも、次の日の二日酔いに泣きつかれるのも全部俺。






A)センラぁ…明日会社行くのやだよぉ……







あまり呂律の回っていない声でAが顔を上げないまま愚痴る。






センラ)わかったから、もう帰ろ。ほら、送ったるから







A)へへへ、ありがとお〜







やっと顔を上げて、真っ赤な顔でふにゃふにゃと笑うA。








…くっそ、可愛い。






A)…んん……でも、ねむ………ぃ…








こてん。







立ち上がる寸前で、Aは電池が切れたみたいに眠りこけてしまった。

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