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リノ side
Aが隣にいる。
それだけでこんなにも嬉しいなんて。
ただ、俺の方に来てくれたAは、
ずっと下を向いたまま口を開かなかった。
カフェにつき、コーヒーを頼むと席に座る。
目の前にいるAは、コーヒーを飲みながら俺を見ては、なぜか気まずそうに笑う。
『なんで俺を選んでくれた?』
正直、選んでくれるとは思ってなかった。
俺のところに来てくれた時は、ものすごく安心したけど。
選ばれなかったら会うのはこれで最後なんて賭けをして
正直ビビっていたのは俺だ。
「……リノは、私の好きな人だから」
そう口を開くAに、思わず口元が緩む。
良かった…
間に合ったか。
『俺もだよ』
「……リノがいなくなった日から、リノのことを考えない日は無かった」
『うん…』
「毎日のようにリノのことを考えては、泣いてた」
そんなAは、うっすら涙を浮かべながら話す。
本当に、Aをたくさん傷つけた。
「私が何かしてしまったかもしれないとか、何か嫌な思いをさせたかもしれない。そんなことをずっと考えてて、いつまでも前に進めなくて…」
『ごめん、俺が……』
「でも、ヒョンジンが側に居てくれたことで、リノのことを考える時間が減った。」
『…………』
「リノとよりを戻しても…私は、ヒョンジンのこと忘れることはできない」
『……え?』
「私ヒョンジンが、大好きなの」
『……待って、』
てっきり、俺のところにきてくれたかと思い安心しきっていた。
目の前にいるAは、
真っ直ぐ俺を見て口を開ける。
「ありがとう今まで。最後にお礼が言いたかった」
…お礼?
そんなの、いらない。
お礼なんか、俺がうける筋合いない。
「あとこれも、返すね」
とテーブルに置かれる指輪に、言葉を失う。
「元気でね。本当に大好きだった」
そう涙を流しているAは、とっくに前に進んでいて
俺にはそれを止めることが出来なかった。
俺も、ずっとAだけが好きだったのに。
別れた理由も、なにもかも、嘘なのに……
『はぁ……』
幸せになれ、なんて今は言えない。
いつだって俺のところに帰ってきてもいい。
俺が、Aを幸せにする。
なんて、女々しいか。
カフェから出ていったAの姿は、もうとっくに居ない。
返された指輪を大事に手に取って帰る俺は、未練タラタラだ。
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belle(プロフ) - ヒョンジン〜もう素敵な世界観すぎて感動しました!泣Kii123さんの作品どれも大好きです! (12月20日 23時) (レス) @page50 id: fb48995cf6 (このIDを非表示/違反報告)
Saa(プロフ) - ヒョンジンが報われてよかったです! (11月26日 8時) (レス) @page50 id: 77cba17a92 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆしき(プロフ) - 今作も最高ですし泣きました。毎回とても素晴らしい作品を執筆して頂きありがとうございます。感謝しかないんですけれども.....次回作も楽しみにしております。お体には気をつけてください.... (11月23日 21時) (レス) @page50 id: 80317f73c9 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 面白すぎました!展開も最高です!次回作もとてもたのしみです!! (11月23日 20時) (レス) @page50 id: 6dabbf1a66 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 最高に面白いです!! (11月22日 1時) (レス) id: 6dabbf1a66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kii123 | 作成日時:2023年11月10日 23時