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『A、今どこ?』
「…ごめん今、駅前の公園にいて…」
ヒョンジンとの約束をすっぽかした私は、
リノが来ると信じて公園に行っては、電話を切られ、カフェに戻ろうともせずに公園のベンチに座っていた。
そんな私を心配してくれたヒョンジンは、
電話をくれて、公園に向かうと言ってくれる。
本当、何やってんだ私。
少し経つと、ヒョンジンは2つのコーヒーを持ち急いで来てくれたのか息が少し上がっていた。
『A、待った?ごめん、』
謝るのは、私なのに。
カフェでずっと待ってくれたのは、ヒョンジンなのに。
どこまで、私はヒョンジンを傷つけるんだ。
「……ごめん、ヒョンジン」
『え、?』
「ありがとう」
『ん?うん。コーヒー?いいよ。そんなの』
と何に私が謝って、何にお礼を言っているのか分かっていないヒョンジンはコーヒーを私に渡そうと差し出す。
「…」
そのコーヒーを受け取らず、
ベンチから立ち上がった私を不思議そうに見つめているヒョンジンを抱きしめる。
ヒョンジンの両手はコーヒーで塞がっていて、
抱きしめ返されないと分かっていても、
それが、今はすごく悲しくて。
「……っ、」
そんなことを思っていると、ヒョンジンの手が私の背中を回る。
「…器用だね」
『Aが抱きしめてくれたんだから、抱きしめないと』
両手にコーヒーを持ったまま、
ゆっくり、優しく私を抱きしめてくれるヒョンジンに、
自然と頬は緩みヒョンジンを抱きしめる力は強くなる。
そんな私を黙って包んでくれるヒョンジンは、
私の肩に頭を置いて“コーヒー置いていい?”と呟く。
「うん」
と体を離そうとすると、
それはヒョンジンによって阻止されて、
少ししゃがむヒョンジンに合わせて膝を曲げると、
コーヒーをベンチに置いたヒョンジンは立ち上がり、私をギュッと抱きしめる。
『A』
「…ん?」
『好きだよ』
「……」
体が離れたと思えば、
ヒョンジンは少し顔を赤くしていて私に微笑む。
『コーヒー冷めるから行こ』
「…ヒョンジン」
『ん?』
「ありがとう」
今は、ヒョンジンの気持ちに答えられなくて、
“ありがとう”と伝えると、ヒョンジンは私を見て微笑む。
『こちらこそ、俺を頼りにしてくれてありがとう』
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belle(プロフ) - ヒョンジン〜もう素敵な世界観すぎて感動しました!泣Kii123さんの作品どれも大好きです! (12月20日 23時) (レス) @page50 id: fb48995cf6 (このIDを非表示/違反報告)
Saa(プロフ) - ヒョンジンが報われてよかったです! (11月26日 8時) (レス) @page50 id: 77cba17a92 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆしき(プロフ) - 今作も最高ですし泣きました。毎回とても素晴らしい作品を執筆して頂きありがとうございます。感謝しかないんですけれども.....次回作も楽しみにしております。お体には気をつけてください.... (11月23日 21時) (レス) @page50 id: 80317f73c9 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 面白すぎました!展開も最高です!次回作もとてもたのしみです!! (11月23日 20時) (レス) @page50 id: 6dabbf1a66 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 最高に面白いです!! (11月22日 1時) (レス) id: 6dabbf1a66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kii123 | 作成日時:2023年11月10日 23時