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「今日は楽しかった。ありがとう」
『うん俺も』
カフェでリノに会った時は、
正直もう帰りたいなんて思ってしまっていたけど、
ヒョンジンとの1日はとても楽しかった。
家まで送ってくれたヒョンジンにお礼を伝え、家に帰る。
“ゆっくり休んで”
部屋に入るや否やすぐにメッセージを送ってくれるヒョンジンに、自然と笑顔になる。
“ありがとう。ヒョンジンも”
と返事を返すと、スマホを置いた。
ソファに座りテレビをつけると、
ふと思い出すのはカフェで会ったリノの姿。
別れてから1回もあのカフェで見ることがなかった。
きっと、私がいるかもって思っていたんだろう。
付き合っていたときは、ほとんどあのカフェに行くことが多かったから。
私のことを一切見る事なく歩き去って行くリノに、
それが当たり前なのに、悲しくなった。
もう好きな人と、上手くいってるのかな。
もしかして、付き合ってるとか。
やだなぁ。
「…………」
そんな私はいつまでも、
バスの時間は変えず、カフェに行ってはリノを探す。
部屋にあるリノの私物は返さず大事に取ってるし、
リノとの写真も飾ったまま。
しまいには、リノの指からはとっくに無くなっている
お揃いの指輪をいつまで経っても付けている。
──────
ハン『よっ、デートどうだった?』
「デートじゃないよ」
ハン『デートだろ』
一緒にお昼を食べるようになるのが当たり前になり、
私を見つけた瞬間“どうだった?”とニヤニヤするハンは、私の肩に腕を回してなぜか嬉しそうに笑う。
「まあ、楽しかったよ」
ハン『へぇ、いいじゃん。お似合いだよ』
とまだニヤニヤしているハンの腕から抜け、学食に並ぶ。
ハン『Aベンチに行かなくなったな』
「え?……ああ、うん。ハンが一緒に食べてくれるから」
リノといつもご飯を食べていた場所。
ハンのおかげで行くことが無くなってきた。
ハン『そうやってゆっくり忘れていけばいいんだよ』
「……うん、ありがとう」
ハンがいてくれなかったら、私はどん底だっただろうな。
感謝しなきゃ。
ハン『よし、昼ごはんをかけてジャンケンしよう』
「ええ、また?」
ハン『ジャンケン、ポン!』
拒否権は無くグーを出すと、ハンはパーを出していてニコッと笑う。
ハン『Aはいつもグー出すからな』
“Aの奢りな”と笑うハンに感謝するのをやめた。
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belle(プロフ) - ヒョンジン〜もう素敵な世界観すぎて感動しました!泣Kii123さんの作品どれも大好きです! (12月20日 23時) (レス) @page50 id: fb48995cf6 (このIDを非表示/違反報告)
Saa(プロフ) - ヒョンジンが報われてよかったです! (11月26日 8時) (レス) @page50 id: 77cba17a92 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆしき(プロフ) - 今作も最高ですし泣きました。毎回とても素晴らしい作品を執筆して頂きありがとうございます。感謝しかないんですけれども.....次回作も楽しみにしております。お体には気をつけてください.... (11月23日 21時) (レス) @page50 id: 80317f73c9 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 面白すぎました!展開も最高です!次回作もとてもたのしみです!! (11月23日 20時) (レス) @page50 id: 6dabbf1a66 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 最高に面白いです!! (11月22日 1時) (レス) id: 6dabbf1a66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kii123 | 作成日時:2023年11月10日 23時