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『イエナ？』
1人でご飯を食べにきたところ、
知っている顔がふと見えて声をかける。
アイエン『ヒョン？』
そう驚いた顔をしているイエニの前の席には、
可愛い女の子が座っていて俺にペコッと頭を下げる。
『隣いい？』
そう俺が言うとイエニは俺が座る場所をあけてくれようとしたのか、腰を上げ少し隣に移動する。
『ハハ、イエニの隣じゃなくて』
と俺が女の子の隣に座ると、
イエニもその女の子もビックリした表情で俺を見る。
『ダメだった？』
「…え？いや…大丈夫です」
『あ、もしかしてイエニの彼女？』
「いや、違います…けど」
とその子は言うと、
イエニは少し口がムッとしているのが見える。
ああ、イエニはこの子のこと好きなのか？
俺には関係ないけど。
『名前なんて言うの？』
「Aです」
『Aちゃん。よろしく。俺ヒョンジン』
「…よろしくお願いします」
アイエン『ヒョン、ヌナはダメです』
『え？ダメって？』
それは、手出すなってことかな？
そんなの俺の勝手じゃん。
「イエナ？」
アイエン『……いや、』
『てかAちゃん、連絡先教えて』
「え、？」
ご飯を頼むことなく話をする俺は、
どうやらAちゃんのことを気に入ってるのかもしれない。
こんな機会を逃すわけにはいかない。
ビックリしている顔も可愛いが、
俺の事を少し怪しんでいるのか携帯をだしてくれない。
『怪しんでる？』
「いや、そうじゃないんですが…」
と鞄からスマホを取り出してくれて、
無事連絡先を交換し終えると、ご飯を注文をした。
終始嫌そうな顔をしているイエニを無視して、
俺はずっとAちゃんに話しかけていた。
「じゃあまた」
『またね〜イエナも』
ご飯を食べ終えお店を出ると、
反対方向の2人に手を振り挨拶をする。
最後まで不服そうな顔をしていたイエニは、
何も言わず俺に頭を下げてAちゃんを連れて帰って行く。
“Aちゃん、明日2人でご飯行かない？”
そう帰り道にメッセージを送る。
歩いて家に帰りながらメッセージの返事がこないか、
何度も確認している自分に笑けてくる。
もう一度会いたい。
そう思ったのは、Aちゃんが初めてかもしれない。
俺が送ったメッセージは、その日に既読になることはなかった。
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作者名：Kii123 | 作成日時：2023年9月5日 22時
