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『…なんで？』
「リノオッパが、ダメだって」
『……』
そりゃダメって言うに決まってる。
なんでわざわざ、リノヒョンに会うことを報告するんだ、Aは。
全く、正直者すぎる。
「だから、ごめん。荷物は捨てて」
『捨てない』
「でも…」
『公園で待ってる』
「え？」
『Aが来るまで待ってるから』
と言い捨てAの返事を聞く前に、一方的に電話を切った。
『……』
来ないかもしれない。
今日他に用事があるかもしれない。
でも、俺は諦められない。
Aの荷物が入った紙袋を手に取ると、すぐに家を出た。
─────
Aに別れを告げた公園。
ベンチに座ると、Aを待つ。
景色は何も変わらない。
よくここに2人で来てたな。
コンビニ寄ってここのベンチに座ってアイスを食べたり、
何をすることもなくベンチに座って話したり。
そんなことAは、もう忘れてるだろうな。
『……来ないか、』
公園でAを待ち続け4時間は経っただろうか。
いつの間にか日は暮れ暗くなっていた。
携帯をずっと触っていたから、充電もない。
「ヒョンジン」
そう頭上から声が聞こえ、視線を上にあげる。
公園の入口をずっと見ていたはずなのに、
いつの間にか目の前にAが立っていた。
『A、』
「久しぶり」
そう半年ぶりにみるAは、少し呆れた顔をして笑っていた。
髪が黒からブラウン色に染められていて、
それ以外は俺の知ってるAのままだった。
『久しぶり』
「荷物、取りに来た」
『ああ、うん。』
ベンチに置いた紙袋を見ているAに渡すと、
紙袋から見えるように入れた俺との写真に目を逸らしていた気がした。
「じゃあまたね」
『待って、』
すぐに立ち去ろうとするAの手を掴むと、
立ち止まり俺の方を振り向いてくれる。
目の前にいるAは俺と目を合わせることはなく、
少し下を向いていてどんな表情か分からない。
『元気にしてた？』
「うん。元気だよ」
『…別れてから、Aのこといつも思い出してた』
「………」
『Aがいないと、俺ダメなんだよ』
何も言わないAの手を引き、
優しく抱きしめると、Aは拒否することも受け入れることもしない。
ただ、立ったままで動かない。
懐かしい匂いに、抱きしめる力が強くなる。
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作者名：Kii123 | 作成日時：2023年9月5日 22時
