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「もしもし？」
『A、久しぶり』
半年ぶりに聞くAの声に、鼓動が早くなる。
俺はまだ未練タラタラで緊張しているのか、
自分から電話をかけたのに、言いたい言葉がでない。
「ヒョンジン？」
『……うん』
「どうしたの？」
リノヒョンと付き合ってるんだろうか？
どこに引っ越したんだろうか？
俺の事、もう忘れたか？
聞きたいことは山ほどある。
電話したくても出来なかった。
『……』
「久しぶりだね」
そう話すAの声は、
優しい声で何も変わっていない。
別れてから何度もAのことを思い出した。
自分で別れを告げたのに、
Aがいない日々は本当につまらない。
なんであの時諦めてしまったんだろう。
“別れたくない”
何を言われても、相手にされなくても、そう縋るべきだった。
『…A会えない？』
「え…？」
『会いたい』
「どうして？」
『Aの荷物返したいから』
「え？捨ててなかったの？」
捨ててと言われた荷物は、結局捨てることができずに今の今まで取っておいた。
こうやって、別れても会う口実ができるから。
『うん。返すから会おう』
「………」
『荷物渡すだけだから』
「…ヒョンジン、私引っ越したんだ」
知ってるよ。家に行ったから。
『うん』
「今日は予定もあるし…」
『Aの都合のいい日でいいよ』
「……えっと、うん…また連絡するね」
『待ってる。じゃあまた』
そう電話を切ろうとすると、
“ヒョンジン”とAの声が聞こえもう一度耳を傾ける。
『ん？』
「私リノオッパと付き合ってるんだ」
『……え、？』
「一応報告しとくね、」
“じゃあね”そう一方的に電話を切られ、
ツーツーと電子音が耳に鳴り響く。
どこかで、そうじゃないかと思ってはいた。
ただその現実を受け入れることに目を背けていた。
Aの言葉で、
その現実を知ることになるとは…
『はぁ…』
──────
「もしもし、ヒョンジン」
『うん待ってた』
あれから2日が経ち、やっとAから電話がきた。
「うん、遅くなってごめん」
『ううん大丈夫。今日会える？』
「………」
やっとAに会える。
その思いでつい頬が緩み、声も弾む。
「私たち会うのはやめよう」
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作者名：Kii123 | 作成日時：2023年9月5日 22時
