10 (hj) 出会い�� ページ10
ヒョンジン side
『ごめん』
「…あ、いや…泣かないで」
そう俺が泣いていることに慌てるAは、
ティッシュを取り俺の涙を拭いてくれる。
上手くいかないことが続くと、メンタルがやられる。
俺って、必要ないんじゃないか？
俺がいなくたって…
別にAにキスを拒否られたから、泣いてるんだけじゃなくて、色んなことがプツッと糸が切れたかのようにのしかかった。
「ヒョンジン、その、ちょっとビックリしただけで…別に、嫌ってわけではなくて……その、」
『……嫌じゃないんだ』
「え？…いや、うん？」
Aもなんて言っていいのか分からないのか、
困った顔をして俺をどうにか泣き止まそうとする。
『……』
そんなAをじっと見つめていると、
Aは目をそらすことなく、俺を見ていてゆっくりと顔を近づけてきた。
『っ』
俺にキスをしたAは、顔を赤くして俺から離れる。
「……えっと、その…」
恥ずかしいのか目を見てくれないAをみて、
Aなりに、俺を落ち着かそうとしたんだろうな。
そう思うと、つい口元が緩む。
そのままAをベットに倒すと、深くキスをした。
──────
お互い下着だけ身につけベットに横になる。
『実は俺、アイドルなんだ』
「え？あ、そうなんだ」
俺なりに重大なカミングアウトをしたつもりなのに、
Aは顔色ひとつ変えずに“そうなんだ”と呟く。
『やっぱり知らなかったか』
「そういうの、疎くて…ごめん、」
『そっか、そっちの方が助かるわ』
「え？」
『今度また、お礼してくれる？』
次は会わないほうがいい。
そう思ってはいながらも、またAに会いたい。
そう思ってしまった。
「でも、アイドルなんでしょ？」
と、笑うAはやっぱり、可愛い。
『それとこれは別だから』
「うん、分かった」
そう笑うAは“眠たくなってきちゃった”と目を閉じる。
『おやすみ』
そう一言かけるとAは小さな声でおやすみと返し、寝息を立てた。
それからAと頻繁に会うようになり今に至る。
次の日には
“外では会わない”
“連絡もAからは避けて”
“お互い干渉するのはやめよう”
そんな条件を言った。
Aは「わかった」と軽く答えていたが、
今の今までAはその約束を破ったことはない。
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作者名：Kii123 | 作成日時：2023年3月29日 23時
