9 (hj) 出会い�� ページ9
ヒョンジン side
「えっと、……？」
そう困った顔をするのも、当たり前だろう。
ご飯を食べるはずが、公園のすぐ近くにあるホテルに入ろうとしているんだから。
『話は中で』
「え、？ちょ、」
戸惑う彼女の手を引くとホテルに入る。
部屋に入り、深く被っていた帽子とマスクを取り、
ドアから動かない彼女の方を向く。
彼女の顔色は変わらず、不思議そうに俺を見る。
あ、本当に知らないのか俺の事。
「あの、」
『え？』
「……ご飯は？」
『……フッ』
どんだけお腹減ってたんだよ。
少し警戒はしつつも、よほどお腹が減っているのか
ご飯は？と尋ねる彼女に笑ってしまった。
出前を待っている間お互いの名前を名乗る。
“気軽に呼び捨てで呼んで”とお互いが同い年であることも分かり少し親近感が湧く。
Aは名前と年齢以外は何も尋ねてくることは無かった。
ご飯を食べ終え、ワインを頼み2人で飲む。
「わたし、今日ここに泊まる」
そうボトルで頼んだワインがなくなった頃、
Aは顔を火照らして俺に言う。
「帰るとこないし」
『どうぞ』
「良かった、今度何かでお礼させて」
『いいよ別に』
「ヒョンジンに出会ってなかったら、路上で寝るところだった」
『ハハ、だな』
「本当にありがとう」
とワインを飲むAは俺を見て微笑み、
座っていたソファから腰をあげるとそのままベットに腰掛けた。
「明日業者呼ばなきゃ」
『もう飲まないの？』
時間は夜中の2時を回っているだろう。
Aは酔っ払っているのか、眠たいのかどっちか分からないが、
目がとろんとしていて少し色っぽくみえる。
「もう、私はいいや」
『寝んの？』
体は自然と動きAが座っているベットに向かう。
Aの隣に座ると、
少し潤んでいる目で不思議そうに俺を見つめる。
「ちょっと眠たくなってきちゃった、」
そう俺を見つめるAに、無意識にキスをしていた。
「っん、？！」
驚いているAは俺の胸を押して、抵抗している。
「急に、何」
『……』
眉間にしわを寄せているAに、言葉がでない。
自分自身ビックリしている。
なんで、キスなんかしたんだろう、
体が勝手に…
「ヒョンジン？」
『ごめん』
「え、？何で、」
“ごめん”と謝ると同時に頬に涙が伝った。
「何で、泣くの」
初対面の女性にキスをして抵抗されるのは当たり前なのに、俺そのものを否定されているようで…
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作者名：Kii123 | 作成日時：2023年3月29日 23時
