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『もしもし』
Felix『何してんの?』
『え?』
Felix『今どこ?いつ帰ってくんの。待ってるのに』
と拗ねたヨンボクの声が聞こえてくる。
『ああ、ごめん』
Felix『反省会しようと思ったのに』
『反省会って、別に反省するようなことしてないだろ』
Felix『それがさ、俺早まってAに告白しちゃったんだよ』
『え?』
告白、?
Felix『返事はもらえてないんだけど』
『そ、そう…』
保留ってことか?
Felix『まあ…もう遅いし、明日聞いて』
『うん』
“じゃあまたな”とヨンボクとの電話が切れる。
ヨンボクの奴…告白したのか。
Aも、断ることなく保留にしたんだな…
寝室に戻るとAは布団にくるまったまま、目を閉じていた。
『寝た?』
そりゃ寝るか。もう1時になろうとしている。
起こさないようAの隣に座り、頬を撫でる。
Aはヨンボクのこと好きなのか?
返事はどうするつもりなんだろうか。
もしAが付き合うと決めれば、俺との関係は終わりだろうな。
『……はぁ、』
所詮、俺らは体の関係だけだ。
──────
『おはよ』
まだ朝の5時。
Aは目が覚めたのか俺が起きていたことに、少しビックリしている。
「……おはよ、早いね」
時計をみたAは俺にそう答えると、体を起こす。
『6時過ぎには出ないと』
「そっか、じゃあ私も起きる」
『A』
「ん?」
『好きだよ』
「…え、?」
『ヨンボクじゃなくて、俺を選んで』
ああ、俺は何を言ってるんだ。
Aは答えに困っているし、
まず“好き”と言うべきではなかった…かな。
でも、このままだとAがいなくなっちゃう気がして。
「どうしたの、」
『俺の傍から居なくならないで』
「……………」
Aは何も答えはしない。
ただ、俺の手を握って抱きしめてくれた。
『なにも言わないんだ』
「…へへ、そうだね、」
『居なくならないってことだよね』
Aの首に顔をうずめると、
小さな声で“うん”と聞こえ安心する。
それが、嘘でもいい。
今は否定せず頷いてくれるだけでいい。
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作者名:Kii123 | 作成日時:2023年3月29日 23時