21 (hj) ページ21
「シャワー浴びてくるね」
そう抱きしめている俺の手を優しく離そうとするA。
グッと抱きしめる力を強め、
Aが離れないよう強く抱きしめる。
『今まで何してた？』
「…え？…少し飲みながら話してただけだよ」
『それだけ？』
「うん、そうだよ」
じゃあなんで、
『何でヨンボクがつけてる香水の匂いがすんの？』
「え？」
Aの表情は見えないものの、
明らかに動揺している声が耳にはいり眉間にシワが寄る。
『………』
「一緒にいたら、匂いが移ることもあるよ」
『へぇ』
抱きしめていた力を弱め、Aの手を取り寝室へと向かう。
ベットに優しく押し倒し、
何も言わない、抵抗もしないAに優しくキスをする。
「っ、」
ヨンボクの匂いなんか、いらない。
ヨンボクのために選んだこの洋服も、いらない。
『脱いで』
「え…？」
『服いらない』
自分で脱ぐのが恥ずかしいのか、
動揺しているAは俺をみて目で訴えてくる。
いつもなら脱ぐのを手伝うが、今日はしない。
Aの手を引き上半身だけ起き上がらせキスをする。
『早く脱いで』
そう言いながらAの首に手を回しキスを何度も繰り返した。
「…っん、ヒョンジ、ナ…っ」
『早く』
2人がどこで何をしてたかは知らない。
それを、問いただす権利もない。
でも、ヨンボクはAのこんな姿は見たことないだろう。
『遅いよ』
「っ、だって…」
キスをしながら、Aはブラウスのボタンを全て外し下着姿になった。
『可愛い、』
でも、この下着もいらない。
「あっ、…ん」
今みたいに俺だけを見てればいいのに。
俺の事だけ、考えてればいい。
他のやつのことなんか、考えるな。
──────
少し激しくしすぎてしまったか、
Aはぐったりしたまま起き上がろうとしない。
『シャワーは？』
「も、少し休む」
『…ごめん』
何も身につけず布団をかぶるAは、俺を見て微笑む。
「何がごめんなの？」
『…少し激しかったかな、って』
「ハハ、その通りだよ」
そう笑ってくれるAは、本当に優しい。
「しかも今日すごく意地悪だった」
『…ハハ、つい』
〜♪
「電話だよ」
笑って誤魔化していると俺の携帯が鳴る。
誰だろ、こんな時間に。
そう思い画面を見るとヨンボクからの着信だった。
「気にせず出て、」
と俺に背を向けるA。
寝室を出ると、通話ボタンを押した。
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作者名：Kii123 | 作成日時：2023年3月29日 23時
