a convenient relationship (ページ2)

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ヒョンジン side

個人の撮影が終わり、
短い待機時間でAに電話をかける。

『もしもしA？』

「うん？」

『A今日も家、行っていい？』

「うん。いいよ」

『遅くなるかも』

「大丈夫だよ、寝てるかもだけど」

『寝てても起こすから』

「ハハ、出来るだけ起きて待ってる」

そう嬉しいことを言ってくれるAに、口元が緩む。

『また連絡する』

と電話を切り、戻ろうと振り返ると、
目の前にリノヒョンが立っていて驚く。

リノ『Aってだれ？』

『……』

まずい……
どこから、聞いてた……？

リノ『ハンが前ヒョンジンが帰ってこないって言ってたけど、その子？』

『……え、？……まあ、はい、そうです』

リノ『ふーん』

“戻るぞ”

それ以上何も聞かないリノヒョンは、
戻るぞと俺の肩を組み、控え室へと戻る。

撮影も、ダンス練習も終わると
みんなが宿舎に帰る中、抜け出してAの家へ向かう。
Aの家は宿舎から10分もかからない。

貰った合鍵を出し、静かにドア開ける。

もう0時はとっくに超えているけど、寝てるかな？

玄関のドアを開けるとリビングの電気も付いていて、テレビの音が聞こえてきてくるのが分かり口角があがる。

「お疲れ様」

『起きてたんだ』

「うん」

『…疲れた、』

Aの顔を見ると自然と力が抜け、疲れたとつい本音が出る。

「おつかれさま」

とソファから立ち上がるAは、俺を抱きしめる。

Aが使っているシャンプーの匂いが鼻をかすめ、
Aの背中に腕を回して強く抱き締めた。

『ベット、行こ』

そう言うとAは頷き、俺から離れニコッと笑う。

ああ、本当にAといると落ち着くな。

ベットに行くとAは寝ようとはせず、
体を起こして薄暗い中携帯を触っている。

『寝ないの？』

「ヒョンジンが寝たら寝る」

『……』

「眠たくないの、先に寝て」

嘘だ。

Aは夜更かししないし、
家に入った時あくびしていたのも知ってる。

……まあAにも悪いし、目閉じよう。

程よい距離感は本当に心地よい。

付き合ってない俺らはお互い干渉することはない。

Aから何も聞くことはないし、
俺がアイドルであってもAにとっては興味のない話。

…まあ…それはそれで寂しいけど。

不規則な生活の俺にはその距離感がちょうどいい。

少しすると携帯を置く音が聞こえ、“おやすみ”と声がして頬に柔らかい感触を感じた。