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“つまんない”と呟くヒョンジンは、
私から離れるも、帰ろうとはせず靴を脱いで家へと入る。
「ちょっと、」
『昨日、イエニ泊まったんだろ?』
「…そうだけど」
『ふーん』
「なに、?」
『嫉妬すんなぁ』
「…………」
慣れたようにソファに座るヒョンジンは、
隣に来るよう私を誘う。
「ヒョンジン」
『ん?』
「荷物返す」
『……』
私物をいれた紙袋を
座っているヒョンジンに受け取るように差し出すも、
私をじっと見つめたまま何も言わない。
「…もう帰って、」
『用事あんの?』
「…夜またイエニと会う」
『そう』
と紙袋を受け取るヒョンジンはソファから立ち上がる。
『また来るわ』
そう頭を撫で玄関の方に歩いていく。
振り返ることなくヒョンジンは、ドアを開けて家から出て行った。
──────
夜になりイエニとご飯に行く。
『ヌナ』
「ん?どうしたの?」
『なんかボーっとしてる』
「え…?ごめん、」
心配そうに私を見るイエニは、
熱があると思ったのか私の額に手を当てる。
『熱はない、ね』
「ないよ、ごめん」
『なんかありましたか?』
「ううん何も、」
そうですか、と少し悲しそうに笑うイエニに、
罪悪感で胸が痛む。
やっぱりヒョンジンと会うべきじゃなかった。
部屋に入れたことも、
キスを受け入れたのも、
全部私が悪い。
『ヌナ』
「ん?」
『ヒョンのこと、ですよね』
「え?」
『ヌナがヒョンのこと大好きだったのは、知ってます。だから忘れるのに時間がかかるのも分かります。』
「……」
『昨日会って、混乱したのも分かります。』
「………」
『でも、もう俺はヌナを離しません』
イエニの真剣な眼差しに、心臓が早くなる。
今日あった出来事は口が裂けても言えない。
「…ごめんね、ありがとう」
微笑むイエニをみて、複雑な気持ちになった。
──────
『またねヌナ』
「うんありがとう。気をつけてね」
家まで送ってくれたイエニにお礼を言い家の中に入る。
電気がついていることに気づき、
消し忘れちゃったかなと思いながらリビングへ向かう。
『おかえり』
「なんで、」
ソファに座っているヒョンジンに、ビックリして体が固まる。
どうやって、いつ、
『合鍵。まだ返してなかったから』
そう笑って私に近づくヒョンジンは、私を抱きしめた。
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belle(プロフ) - Kii123はじめまして!全作品読ませていただいたのですが、どれも感情を揺さぶられるものばかりでお話に入り込んでしまいました…Kii123が書くヒョンジンがどれも好きです、笑 次作も楽しみにしてますね! (9月3日 0時) (レス) id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - 次の作品も楽しみにしております!また、長々と失礼しました (2023年3月30日 2時) (レス) id: 65273ce06c (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - Kii123さんの作品で一貫して好きなところはエンディングが後ろ髪を引かれるようなクセのあるところです。ハッピーエンドともバットエンドとも読者のその時の感情や環境によって変わるようなユーモアがありオリジナリティ溢れるところが大好きです。 (2023年3月30日 2時) (レス) id: 65273ce06c (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - またいい作品をありがとうございます…Kii123さんの作品が大好き過ぎてちょっと落ち込んだ日とかに読んでるんです笑ずっとこの作品のことは知っていたんですがやっと読めました笑 (2023年3月30日 2時) (レス) @page39 id: 65273ce06c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kii123 | 作成日時:2023年3月7日 23時