XXV -25-

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アイエン side



ヌナが話していた人はこの人？？

ヌナの弟が個展に行けないから一緒に行く？と誘われ、
一緒に個展を見に行ってる途中に、ある男の人に会った。


話してくれた男の人で間違いないだろう。

ヌナの反応を見れば、なんとなく分かる。

僕のことをみて怒っているのか、
ヌナに誰か尋ねていて、答えに困っている。

『ヌナの彼氏です。』

違うけど、そう答えた。


目の前の男の人もびっくりしているけど、
ヌナも俺の発言にびっくりしている様子だった。


ヒョンジン『A本当？』

「え？……ああ、うん。そうだよ」

そう答えるヌナは、どこか悲しそうにみえた。
やっぱこの男の人のことが好きなんだな。
諦めたいのか、諦めたくないのか。

『個展間に合わないよ。行こう』
そう言うと、俺はヌナの手を握った。


緊張をどうにか紛らわすために、軽く深呼吸した。


『ちょっと待て』
そう後ろから聞こえ、振り向くと俺を睨んでいる男の人。


『はい、なんですか？』
そう答えると、ヌナの手ではなく俺の腕を掴み引っ張られる。


ヌナに聞こえないようなところに連れられ、
『嘘つくなよ分かってんだぞ』と第一声に言われる。

『本当です』

ヒョンジン『じゃあ付き合ってんなら、最後までやったよな？』

『え、？』
急に何を言ってるんだ、この人は。

ヒョンジン『Aはある所にタトゥーが入ってるよな。どこかわかる？』


そう質問され、言葉に詰まる。
普段みえないところ？ってことだよな。

お腹…？
太もも？
二の腕か…？

分からない。タトゥーなんかみたことない。

ヒョンジン『答えろよ』

『最近、付き合ったばかりで分からない』

ヒョンジン『…じゃあAの家行ったことある？』

『はい、あります』

もちろん、あるわけがない。
家の場所も知らないし。

ヒョンジン『じゃあAの家に飾ってある絵、わかる？』

『……』

ヒョンジン『どんな絵？』

……分からない。

ヒョンジン『家行ったことあるなら分かるだろ』

『絵なんか飾ってません』

もうここまできたら、嘘つくしかない。
どうせこの人もヌナの家に行ったことないだろうし。


ヒョンジン『あっそ』
そう、鼻で笑いながら何かを確信したのか俺を置いてヌナの方へ向かって歩いていく。

俺も追ってヌナのとこへと向かうと、
『A、個展見終わるまで待ってるから』と俺の方を見向きもせずに、ヌナに言っている。


黙ったままのヌナの手を引き、個展の中へ入った。

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