XXV -25-

30 (hj) ページ30

ヒョンジン side




Aがいなくなった。

どこに行ったかなんて分かるわけが無い。

電話もでないし、
メッセージが既読になったかと思えば、電源を切られる。


唯一知り合いのレイにかけてみる。

レイ『もしもし？珍しいねヒョンジンからかけてくるなんて』

『Aの居場所知ってる？』

レイ『居場所？』

『引っ越したって』

レイ『私たちはただの飲み友達だからお互いの家も知らないし、プライベートは干渉しないから分からない』

そう言われ、あっさり電話を切られる。


あと聞くとしたら、リノヒョンか。
リノヒョンが知ってて、俺が知らないんだったら
完全に脈ナシだな俺、

でも今はそんなこと言ってられない。

リノ『もしもし？どうした？』

『ヒョン、Aの家知ってますか？』

リノ『え？急にどうした？』

『A、引っ越したみたいなんですけど』

リノ『…え？』

『電話も出なくて、』

リノ『俺は知らない。電話かけてみる』

『はい。でも俺がかけすぎて電源入ってないです』

そう言うとヒョンはクスッと笑って、
何か分かったら連絡すると言って電話を切った。

誰も知らないのか。

家に呼んでくれたのは、最後だったからか？
期待したのがバカみたいだ。


また明日、連絡してみよう。






次の日、朝から電話をかけるも未だ電源が入ってない。

会社に行き、リノヒョンのところへ駆け寄る。

『何かわかりましたか』

リノ『ううん。ずっと電源切れてる。知り合いに知ってるやつはいなかった』

『そうですか』

リノ『なんで急に引っ越しなんか』

『分からないです、あの日Aと何話したんですか？』

リノ『別になにも』
そう言うと、ヒョンは立ち去って行く。


ハン『おはよう』
なにも知らないハンが出勤し、
俺らが話しているのを見ていたのか、なんかあった？と尋ねてくる。

『Aが消えた』

ハン『は？どういうこと？』

『引っ越して電話もでない。』

ハン『マジか、困ったやつだな』

『なんか知らない？』

ハン『俺が知るわけねーだろ』

だよな。分かってた。
本当に誰もなにも知らなくて嫌になる。


もう一度電話をかけるも、電源は入っていない。


“話がしたい”
そうメッセージを送り、携帯を閉じた。



お昼休憩になり、メッセージを開くと既読になっていて
すぐに電話をかける。

コール音が鳴り響き、電話は切れる。


はぁ、俺がなにしたっていうんだよ。
そんなイヤなら、いっそ嫌いって言ってくれたほうがましだ。

31→←29

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す