XXV -25-

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「ありがとう。そう言ってくれて少し気が楽になった」

『ヌナ、この辺分からなかったら案内しますよ』

「ううん、もう遅いから大丈夫」

もう日は沈みかけてきて、寒くて体が冷えてきたし、
そろそろ帰ろう。

そう思い、立ち上がる。

不思議そうに見つめるイエニに「もう帰るよ」と言うと、
『送ります』と言い立ち上がる。

「大丈夫。近いし、1人で帰るよ」

『でも、暗くなると危ないし』

「本当家近くだから」

『あ、じゃあちょっと待ってて下さい』
とイエニは売店へと走り出す。

不思議に思っていると、すぐに帰ってきて、
温かいコーヒーを私に渡してくれる。


『夜は冷えるから』

「若いのに、しっかりしてるんだね。ありがとう」
本当に優しくて、心が暖かくなる。

『またいつか会えたら、その時は一緒に飲んで下さい』

「うん。分かった」
そう言うと、先に背を向き歩き出した。


もらったコーヒーを飲み、ふと後ろを振り向くと、
イエニはまだこっちを見ていてくれて、手を振ってくれる。


つい笑顔になり、手を振り返す。

新しい場所で不安もあったけど、
イエニに会えて少し明るい気持ちになった。


家に帰ると、ずっと鳴っていた携帯を開く。

9割はヒョンジンからの電話。
1件だけ、弟からのメッセージが入っていて
ヒョンジンが家に来たことを報告する内容だった。

あとはヒョンジンからのメッセージでいっぱいだった。

“どこに行った？”
“電話に出て”
“ A、会いたい”
“何も言わずにいなくなるのは、ずるい”


既読にした途端、再び鳴る電話。

本当に、ヒョンジンは諦めが悪いなぁ、


電話が切れるのを待つと、すぐにメッセージが入る。

“見てるなら、電話に出て”


そのメッセージを見ていると、
すぐにヒョンジンからの電話がくる。


電話が切れると私は携帯の電源を落とした。


ヒョンジナ、私なんかのことは忘れて幸せになって。



唯一家から持ってきた絵を飾り、布団を敷くと目を閉じた。

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