19 ページ19
ヒョンジンが帰り軽く片付けをする。
チャニからもらった袋を見ると、
薬と飲み物の他に私の好きなお菓子が入っている。
どうしてこんなことをするんだろう、
お礼をしようと携帯を開くと、
先にチャニから連絡がきていた。
『今日はいきなりごめん』
たった1行。
別に謝ることないんだけど…
「こちらこそお菓子までありがとう。」
そう返すとすぐに電話が鳴る。
チャニからで、一瞬出るか迷うも電話に出る。
『もしもしA？』
「うん、どうしたの？」
『今日はごめん、ヒョンジンくるの知らなくてさ』
「ううん、大丈夫」
『…… A、ヒョンジンと付き合ってんの？』
「え？」
『付き合ってんの？』
チャニの声はなぜか少し怒って聞こえる。
「ううん、付き合ってないよ」
『じゃあ何で家に？』
「…気になるの？」
『え？』
「今更やめてよ」
『……ごめん』
「じゃあまたね」
『A、』
「ん？」
『…ごめん、』
「もう謝らないで、チャニが悪いわけじゃないでしょ」
何度も、何度も謝ってくるチャニを
私はどうしていいか分からなくなる。
もう怒ってなんかないし、前に進もうと努力してる。
『うん、でも、ごめん…』
「もう切るね」
それでも謝り続けるチャニが嫌になって電話を切った。
次の日大学へ向かおうとすると、
最寄りのバス停にチャニが立っている。
『A』
「チャニ？なんでここに」
『待ってたAのこと』
「え？」
そう言われ戸惑いと嬉しい気持ちを必死で抑える。
『授業まで時間ある？』
「うん、あるよ」
『ちょっと話そ』
チャニに彼女がいるって分かってても
諦めないといけないって分かってても、チャニの顔を見ると断ることができない。
大学のベンチに座ると、
既にコーヒーを買ってきてくれていて渡してくれる。
「ありがとう、相変わらず優しいね」
『まあね』
そう笑うチャニ。
「昨日は電話急に切ってごめん」
『ううん、俺が軽率だった。家に行ったりして』
「……ううん、」
『俺たちさ、気軽にご飯とか行こうよ』
「え？」
チャニは友達として、だろう。
分かっていても私には言われて嬉しい言葉だった。
『こんなこと、俺が言うべきじゃないって分かってる。』
「……うん」
チャニには大事な彼女、いるもんね。
『でも、ご飯ぐらい行こうよ』
「うん…そうだね」
『連絡するからさ。気軽に、ね』
そう私の顔を除くと微笑むチャニ。
私は頷いて分かったというしかできなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 113人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Kii123 | 作成日時：2023年1月29日 0時
