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『A』
「チャニ、？」
『久しぶり』
「うん、」
チャニは昔の恋人で、
ずっと忘れられなかった人。
1年前チャニがオーストラリア留学に行く前日に振られ、
それから連絡をしても返ってくることはなかった。
『元気だった？』
「...うん、チャニは？」
『元気、』
そう優しく笑うチャニを久しぶりにみて嬉しくなる。
『今日、授業終わって話さない？』
「今日？」
『急だよね、ごめん』
「ううん今日、大丈夫」
ヒョンジンとの約束を忘れてはいなかった。
でも、チャニに会えた嬉しさでついチャニを優先してしまった。
授業が全て終わりヒョンジンの所へ向かう。
「ヒョンジナ、今日急用ができちゃって」
『急用？』
「うん、ごめんまた今度ご飯行こう」
『...わかりました』
「ごめんね」
悲しそうな顔をみると、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
次は奢るからとヒョンジンに伝え、チャニとの待ち合わせ場所へと向かう。
『行こっか』
「うん」
先に待っていてくれたチャニを見て、懐かしい気持ちになる。
カフェに入ると、私の大好きなバニララテを何も言わずに頼んでくれて席へと座る。
「いつ、帰ってきたの？」
『1週間前』
「そっか、楽しかった？」
『うん。いい時間だった』
他にも聞きたいことはたくさんあった。
なんで急に別れを告げたのか。
なんで連絡を返してくれなかったのか。
なんで留学行くことを黙っていたのか。
『A』
「ん？」
『あの時はごめん』
「え？」
『自分勝手で、Aのこと考えれてなかった。』
「...」
『ずっと謝りたくて、』
「...うん、」
『本当にごめん』
眉を下げて謝るチャニを見て、
あの時の悲しみや怒りがすっと消えていく。
その後もチャニの留学話をたくさん聞いたり、
たわいもない話をたくさんした。
『Aはさ、好きな人できた？』
「え？できてないよ、」
『そっか』
「……チャニは？」
『まあ、ぼちぼち』
そう濁しコーヒーを飲むチャニ。
ぼちぼちってなんだろう。
深く聞くのが怖くなり、話を広げなかった。
カフェをでるとチャニは自然と歩きだし、私の家まで送ってくれる。
『懐かしいなぁこの道』
「よく送ってくれたもんね」
『うん〜Aの家も変わってないし』
「うん、」
『Aがここで転けたのも覚えてるよ』
「ハハ、やめてよ」
変わらずチャニといると居心地がいい。
そんなことを思っていると家に着く。
またねと別れを告げ家に帰った。
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作者名：Kii123 | 作成日時：2023年1月29日 0時
