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...
書類をある程度書き終わり、独歩は帰路に着いた。
冷たい冬の風が、彼の肌の露出した部分を刺すように吹き抜ける。
ぼーっとした様子で歩き出した彼は、今にもばたりと倒れてしまいそうであった。
元来、彼はネガティブな性格であるが、今回の件が引き金となりもっと暗い方向へと気持ちが向いていた。
それこそ、本気で駅のホームから身を投げようと思える程に。
「俺なんかが幸せになろうって思ったからバチが当たったんだ...そうだよな...こんな失敗...」
ブツブツと呟きながら歩く独歩を気にもせず、街の喧騒はさらにその騒がしさを増していく。
独歩にとって、今日の出来事は尋常ではないほど大きな枷であった。
たった1回のミスで...と思う方もいると思うが、彼にとっては違う。1度やってしまったらもうそこで終わりなのだ。
例え事態が収束したとしても、自分で自分自身を許せなければ一生それは
生憎、彼はミスから気持ちを切り替え、後に繋げるという前向きな気持ちを持ち合わせていなかった。
要するに、とても打たれ弱いのだ。
フラフラと自宅近くの道を通り掛かった時、いつもは見えるはずの人影も無かった。
「そりゃそうだ、こんな時間だもんな...はは...」
俺は彼女に何を望んでいるのだろう
彼は心の中で呟いた。
自分の中でAという存在がただの癒しでは無くなりかけていることに、彼は既に気がついていた。
...
次の日からの仕事は、彼にとって地獄のような日々でしかなかった。
今まで出来ていたことも、何もかも手につかない。昨日のミスを引き摺りすぎて、普段なら絶対にしないような細かく簡単なミスばかりしてしまうようになっていた。
間違える度にほかの社員から指摘と共に冷たい視線を食らった。
今までは耐えられていたそんな細かいモノも、今の彼にとってはグサリと突き刺さる鋭い凶器でしかなかった。
(人は、落ちる時はとことん落ちるもんなんだな)
嫌に冷静な様子で、彼はそんなことを思った。
彼の精神はもう限界であった。
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紺(プロフ) - kai_0998さん» 分かりみがフカヒレ (2019年12月8日 11時) (
レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
kai_0998(プロフ) - 紺さん» コメントありがとうございます。独歩にはどうしてもメリバエンドを迎えて欲しい気持ちがあります... (2019年12月8日 1時) (レス) id: 8c34b5ee67 (このIDを非表示/違反報告)
kai_0998(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます。褒めていただいてとても嬉しいです！楽しく読んでいただけたなら本望です...ありがとうございました (2019年12月8日 1時) (レス) id: 8c34b5ee67 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - 独歩おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ (2019年11月30日 12時) (レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - すっごい感動しました！この作品を作ってくださってありがとうございます！ (2019年11月29日 16時) (レス) id: 6cdcbd2af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kai_0998 | 作者ホームページ：http://id52.fm-p.jp/649/kieyuku/
作成日時：2019年11月28日 22時
