93色(続き) ページ49
.
「常闇、一緒に食べないか？」
「ん？あぁ、もらおう」
半分にパキン、と割れるタイプのアイスを持った障子が常闇に割った片方を差し出す。動けない自分を気遣っての事だろう。常闇はそれを受け取りながら軽く障子に微笑む。
いい友達を持ったもんだ。
「なぁ常闇、先生起こしてくんねぇ？」
「先生の分もアイス、用意したからさ!!」と片手に持ったアイスを見せる上鳴がチラリとドーム状のダークシャドウを見る。
上鳴の手に握られたアイスはちゅーっと吸うタイプの、病人としても食べやすいものだった。
1つ頷いてダークシャドウを呼ぶ。先程までスヤスヤと寝息を立てていたダークシャドウが重そうな瞼を上げた。
「ダークシャドウ、先生を起こしたいんだが……」
《 ンー……オウ。もうダイジョウブだ!! 》
スルスル……とダークシャドウが戻っていく。横になって再び寝入っていた色川の姿がそこにあった。
横を向いてしまっているため、額を冷やしていた氷嚢が落ちてしまっている。常闇が拾い上げたそれはすっかり解け、ぬるくなった水だけが残っていた。
「おい。せんせー起きたら粥とアイスどっちがいいか選ばせろ。なんも食いたくねぇは無しだ。」
「りょうかーい」
上鳴がポンポン、と軽く色川の肩を叩く。体を揺すらなかったのは色川が『頭が痛い』と言っていたからだろうか。
荒い息を吐く、目元の赤らんだ色川の瞼に力が入り、ゆっくりとダルそうに瞳があけられた。
『んぁ……？』
焦点の合わない瞳が起こした人を探す。その熱に浮かされた虚ろな瞳が上鳴を捉える。
自分が買い出しに出る前に見た顔より苦しそうなその表情に、上鳴は胸が詰まりそうになりながらニッと笑って見せた。
持っていたアイスが色川に見えるように、目の前に持って行って軽く左右に振ってアピール。色川の瞳がアイスを追いかけた。
「先生にアイス買ってきたんだけど、お粥とアイス、どっちがいい？」
『お粥……？』
どれ？と言いたげに揺れた黄金の瞳。すかさずずいっと目の前に現れたのは小さめの土鍋。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 335人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夕霧 - すみません少しバグってしまって同じことを2回も…… (2018年6月29日 23時) (
レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧 - リクエストなんですか色川先生に猫耳と尻尾が生えて相澤先生に愛でられる的なお話がみたいです！これからも更新頑張って下さい！! (2018年6月29日 21時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
夕霧 - いやーこの作品大好きです！ リクエストなんですか色川先生に猫耳と尻尾が生えて相澤先生に愛でられる的なお話がみたいです！長文失礼しました。これからも更新頑張って下さい！応援してます! (2018年6月29日 21時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
へるしあ緑茶 - あ、リクエストはおまかせで！(((^-^))) (2018年6月28日 6時) (レス) id: 2ca58b0ccc (このIDを非表示/違反報告)
わっふる - 初コメ失礼します！これ、結構皆さん書いてますよね(・ω・) オチは相澤先生がいいです！！！(\>д<\)急にすみません！とっても面白くて楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2018年6月27日 21時) (レス) id: b3a4a0c926 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：戴天の白 | 作成日時：2018年4月30日 22時
