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あのあと私はぺたりと力が抜けたように座り込んでしまった
腰にある刀を見られ、
警官がこっちにやって来る前に
不思議な術に身を包まれて珠代さんという
ご婦人が助けてくれたけど、
今はなんというか…
言葉にできないほどの虚しさが心を支配する
「Aさん…」
『ごめんね、炭治郎くん。
わたし先輩なのに、何もできなくて』
むしろ迷惑かけちゃったね
ブンブンと首が取れそうな程力強く横に振る
そんな炭治郎くんを見て余計に申し訳なさが募った
「とりあえす今は愈史郎さんの元へ行きましょう」
『それは無理かな。ほんと、ごめん』
きっと今の私では足手まといになってしまう
何も考えられない、何もする気が起きない
「だけどっ!」
『炭治郎くん。……君はその愈史郎さんの元に行きなさい。鎹鴉によれば浅草に鬼が出るという情報だったはず。今回は‘今’鬼にされた人だからまだ鬼は倒されていないの。私はそっちを行く』
「それでも今のAさんをこのまま行かせる訳にはいかないんです」
『どうして?』
「それは、」
胸を針で刺されるような痛くて哀しい匂いがするから
多分その通りだ。とても胸が痛い。苦しい。
でもだからといって行かない理由にはならないんだ
これでも私は鬼殺隊。
人を守るために今日も今日とて鬼を狩る存在
お願いよ。先輩面させてくれないかな。
これ以上醜態を晒したくない
『そうだ。ひとつ聞きたいんだけど、
炭治郎くんが引き留めたあの男は
鬼の元凶といわれる鬼舞辻無惨であってる?』
「そうですけど、どうしてですか?」
『いいや、なんでもないよ。』
もう行かなきゃ
今もどこかで喰い殺されてる人がいるかもしれない
『ご武運を…』
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こよみ(プロフ) - コノハさん» まさか怖いという感想を貰うとは思いませんでした。ですのでとても嬉しく思います。今回は残酷めで書きたかったので その雰囲気が伝えられたようで、ここまで書いてよかったと思いました。ありがとうございます。この作品が印象に残ってくれたのなら幸いです。 (2020年9月1日 23時) (レス) id: 1c06e5faff (このIDを非表示/違反報告)
コノハ - 怖いです。でも、衝撃的なのは読む人に印象に残りやすくてよかったです。 (2020年9月1日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - コノハさん» ありがとうございます!これからも続いていくので今後とも読んでくだされば嬉しいです (2020年8月16日 1時) (レス) id: 1c06e5faff (このIDを非表示/違反報告)
コノハ - 所々に嬉しさがあって面白かったです (2020年7月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - みーこさん» 面白いと思って頂けて嬉しいです!個人的にはこれでいいのかな?なんて不安もありましたのでこのコメントを見てとても救われました。今回は無惨様の残酷さを活かした小説にしたかったので伝わって良かったです。いいですよね!大好きです!コメントありがとうございます (2020年6月2日 11時) (レス) id: 1c06e5faff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こよみ | 作成日時:2020年4月25日 21時