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ひとつ息を吐き、呼吸を整える
『心してお聞き下さい、垂直に申し上げます。
この町で子供が行方不明になる騒動が起こったのは
神隠しではなく鬼によるものでした。
私が駆けつけた時、その子は鬼に襲われかけ
その子のお兄さんが庇い亡くなりました。
私の力不足でお子さんを御守り出来ずに
申し訳ありませんでした』
頭を、さげた
7歳までの子供は神の子と言われている
だから神隠しにあったと思われても仕方がなかった
それを鬼は利用したのだ
鬼という信じ難い存在へか、
はたまた息子が殺されたことによる怒りか、
若しくは淡々と述べる私が気に食わなかったのか、
パニック状態になった父親は私の胸倉を掴み上げる
｢あなたやめてッ｣
｢お前が！！お前がもっと早く来てくれたらﾂ｣
子供が父親の威迫に怖気付いて泣き出した
それと同時に掴まれた手は緩まれたが
またギュッと締められる
｢田中さん お辞めなせぇ！｣
｢わかってる！分かってる、けど！！！｣
唇が切れそうなほど噛み締めて、
涙がこぼれそうな充血したその目に睨まれた
そうだろうな。
見るからにして殺されたのは長男である息子だ
長男を殺されたのだ。
次男が泣きわめく声だけが響いてる
｢……あり、がとうございます。息子を
っ息子を助けていただきありがとうございます｣
家族揃って礼を言った
それでも私は救えなかったのだ。
お礼を言われる筋合いはない。
やっと胸倉を離されて
詰まっていた肺に空気が入り込む
私はもう一度頭を下げた
救えもしなかったのに
御礼を言わせてしまって申し訳ない
本人たちも辛いだろう
お爺さんが小さな声で｢鬼狩り様｣と呟いた
｢頭をお上げください鬼狩り様。
ありがとうございます、ありがとうございます。
もう被害を出さぬよう倒して下さり
ありがとうございます｣
『いえ、私は………』
鬼狩り様と言われるような立場ではない
祈るように左手を握られるような人間ではない
そういうのは柱様みたいな方々であって
私ではない
カァカァと鎹鴉がやって来て、次は浅草と鳴いた
確か炭治郎くんも浅草に行っていたが
任務に失敗したのだろうか
だがどうやら違うらしい、
合同任務に変更されたようだ
『それでは私はこれで』
ありがとう、ありがとうと悲し涙を流す人達に
背を向いて北の方へと足を運ぶ
事が起こってからしか解決できない
自分の非力な力が嫌いだ
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こよみ(プロフ) - コノハさん» まさか怖いという感想を貰うとは思いませんでした。ですのでとても嬉しく思います。今回は残酷めで書きたかったので その雰囲気が伝えられたようで、ここまで書いてよかったと思いました。ありがとうございます。この作品が印象に残ってくれたのなら幸いです。 (2020年9月1日 23時) (
レス) id: 1c06e5faff (このIDを非表示/違反報告)
コノハ - 怖いです。でも、衝撃的なのは読む人に印象に残りやすくてよかったです。 (2020年9月1日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - コノハさん» ありがとうございます！これからも続いていくので今後とも読んでくだされば嬉しいです (2020年8月16日 1時) (レス) id: 1c06e5faff (このIDを非表示/違反報告)
コノハ - 所々に嬉しさがあって面白かったです (2020年7月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - みーこさん» 面白いと思って頂けて嬉しいです！個人的にはこれでいいのかな？なんて不安もありましたのでこのコメントを見てとても救われました。今回は無惨様の残酷さを活かした小説にしたかったので伝わって良かったです。いいですよね！大好きです！コメントありがとうございます (2020年6月2日 11時) (レス) id: 1c06e5faff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こよみ | 作成日時：2020年4月25日 21時
