たとえあなたが鬼でなくても 下

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今回は嘴平伊君がいなくて、
我妻君と竈門君だけが廊下に立っていた

大切なお話がしたいですと
言われた時に察しが着いた。

大方この子達には前世の記憶があるのだろう。
否、絶対にある。

じゃなければ初対面の時にあんな事言わないもの


教室だと聞かれる可能性もある為、
生徒相談室へと向かった









.









.









『前世について？』



そういえば緊張が走る


どこで知ったんですかって…
まるで知られなくなかったみたいね

2人の表情は暗くなるばかり

まぁ、いい話ではなかったからね



『自分で調べたの』

｢どうして…｣

『知りたかったから、じゃ駄目かな』



竈門君は俯いていて、
代わりに我妻君が反応する

けど私は、
あなたに一言言わなければならないことがあるの



『炭治郎さん』

｢…っ｣

『御免なさい』



今度は私が彼に深々と頭を下げた

パン屋さんでの‘サービス’の意味。
君は私に対しての償いをしたかったんだね

あれは あなたが悪いわけではなかったのに



『斬ってくれて、ありがとう。
そしてまだ小さい貴方に背負わせてしまって
ごめんなさい。』


｢ｯいま、まで｣

『うん』

｢わ''すれだｯごと なんて、なかった｣

『うん』

｢ずっど、ずっとあやまりっ たかった｣

『うん』

｢ごろしだぐながったぁ｣

『ごめんね、ごめんね。』



いつもの長男気質の竈門君とは思えないほど
眼からは涙が溢れ、鼻水も垂れ下がっている


座っていた席から立ち上がり彼の元へ向かえば
竈門君も席から立って抱きついてきた

私より少しだけ大きい彼は、私の背中に腕をまわして
ギュウッと力強く締め付ける

今回ばかりはPTAよりも炭治郎さんを優先させたくて
そっと彼の背中に手を当てた


その隣で善逸さんが羨ましそうに百面相をしている。
あなたは変わらないね


よしよしと背中を撫でてみるが、
なかなか泣き止んでくれない

けど、泣きたい時は泣いた方がいいのよね

特にこの子はなかなか泣かない子だから
泣ける時に泣かせなきゃ


オールバック頭を撫でてありがとうと伝える

それにまた彼は声を上げて涙を出すのだ


ごめんなさい、ごめんなさいと謝りながら泣くのだ

私の台詞なのに、
私が言わなければならない言葉なのに


彼の姿をみて心を痛める
これは私(わたくし)がしでかした事なのに

どうか謝らないでくださいまし

炭治郎さんは正しいことを 皆のためにしたのですよ



心苦しいでしょうが、誇りに思ってください

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