誑かすのは好きですが、“あくま”で人間相手です。【2】

←98話 ページ48

玄関の扉を開けるとオペラさんがいた



『ただいまです！』

「おかえなさいませ、A様」



私の鞄を受け取るために近づいたオペラさんは一気に耳を垂れさせ、尻尾も上方向に伸ばしきっていて不機嫌なのが目にわかる。


えっと、、何かしちゃいましたか？

いつも通りただいまの挨拶もしたし、荷物も預けようとしたのだけれど…



「男の匂いがします」

『はっ？』

「誰ですか」

『ちょ、待ってください！！』



クンクンと鼻を鳴らしながらたどり着いた先は、ダリ先生が舐めた鎖骨上の首筋とキスした耳


っていうか匂いする？？

私の鼻が可笑しいの？！？！


あれかな、浮気したらすぐ分かる猫的なやつかな。


オペラさんを見ると、尻尾でビシバシとご自分の太腿に叩きつけて、如何に怒っているのかを示してくる。

顔を顰めて早く答えろと急かすその様はまるで尋問

両手で壁を作ってオペラさんの肩を押して距離をとった



『とっ、友達です！！』

「ﾊｯ…！！ まさかアスモデウス家のご子息ですか！？」

『違う女の子！！女の子の友達！！！』



流石に先生ですなんて言えないし、かと言って男友達って言うのもなんか気が引けた。


でもあれよ？人間界では結構やってた方なのよ？

ポッキーゲームは勿論したし、なんならフライドポテトゲームだってしてたし？

キスマークなんて誰が一番うまく付けられるかの試合もやったり、毎休み時間ごとに胸を揉み合ったりもしたもの。ちなみにキスマは私が大優勝して、なんなら友達の背中に北斗七星を描いたの

アレは面白かったなぁ…、息が出来なくなるくらい笑ったのを思い出す。死ぬかと思った。

だから全くの嘘では無い


それでも信じてくれなくて、これは男の匂いですと言いきられてしまう



『あーもうっ！友達が男性用の香水を持ってきたの！！ちょっと遊んでただけです！』

「………」

『へ、変に探られるのは好きじゃないです…！』

「！？！？」



ガビーンという効果音が似合うほど落ち込んだオペラさんは、先程とは違う意味で耳が下がった。

尻尾もぶらりと力無く垂れている


なんか私が悪いみたいじゃん…やめてよ……



『あの、オペラさん？ その、えと…』

「…わかりました」

『え？』

「これ以上は詮索致しません。」

『あ、はい』

「その代わりに今すぐ御入浴をしてください」



はい？！

そこまで不快ですか！？？


待って押さないで！って脱がさないでよ！自分で脱ぐから！！脱げるから！！

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