誑かすのは好きですが、“あくま”で人間相手です。【2】

←85話 ページ35

机に向かってする勉強に飽きたので、ラファイアを瞬時に出したり消したりする練習をしていた

自室のノック音が聞こえたので返事をすると、入間くんが入ってくる

それも真剣な顔付きで


どうしたの？相談事…？？

急に改まっちゃって何かあったの？


時間的には寝るには早いけれど、お互い入浴は済ませてあったのでベッドに案内した



「Aさんの指輪って喋りますか？」

『……ん？？？』



指輪が、喋る？？？？


言葉の意味を理解出来ずに、自分の左手の中指に視線を移してもう一度入間くんの言葉を頭の中で咀嚼してみる

けれど、やっぱり分からなかった



『しゃべ、らない…よ？』

「そうですか…」



あまりにも落胆した入間くんに、何故かこちらが申し訳なく感じる

あからさまに落ち込んでいるので、何とか元気を出してもらおうと(？)『入間くんの指輪は喋るの？』と意味不明な言葉をかけた


なんだ、“貴方の指輪は喋るの？”って

ティスニープリンセスじゃないんだから



「実は、＿＿＿＿」

『…』



あっ、喋るんだ。

そうなんだね〜


話を聞いていれば、ランクが上がる事にアリさんというモノも成長するのだという

いや何それ



「やっぱり、信じてくれないですよね…」

『ん〜……そうだね、』



だって指輪に自我があるとは思えないんだもの

ごめんねと入間くんの頭を撫でる


一応、54＋38とか、林檎は何色とか、簡単な質問をしてみたけれど、精神に異常なところは無いみたい

魔界にきて遂に気が狂ってしまったのかと思ったけれど、正常だった

だから入間くんは正気で「指輪が喋る」と言っていることになる



『まぁ、私の常識上 指輪は話さないけれど、ここは魔界だから喋る物もあるのかもしれないね。』

「えっ、もしかして信じてくれるんですか？」

『入間くんが喋るって言うのなら、私は信じるよ』



そう励ますと、少し顔色が明るくなった

誰も信じてくれないより、誰か信じてくれる人がいるって知ると前向きになれるよね



「ありがとうございます！もう少し悪食の指輪についてしらべてみますね！Aさんも、何か指輪に異変があったら教えてください！」

『うん、わかったよ』



そういえば私の指輪の中にある魔力ってどうなってるんだろう

今のところ体調に可笑しなところは無いけれど、不安だから今度サリバンさんに聞いてみよう


おやすみなさいと可愛い笑顔で挨拶した弟は、数日後、生徒会に入った



……いや何でよッ？！？！

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