誑かすのは好きですが、“あくま”で人間相手です。【2】

←79話 ページ29

『明日のお昼ご飯は用意しなくて大丈夫です』

「承知しました。学食をご利用なさるのですか？｣



夜の寝る前の勉強中に、ホットミルクを持ってきてくれたオペラさんに明日のことを伝えた


アスモデウス君とクララちゃんがお弁当を作ってくれるんです。


受け取った熱々のホットミルクに息を吹きかけてると、いつまでも反応がなかったから顔を上げる

そしたらオペラさんの耳が少し垂れていた



｢私の作ったお弁当は食べてくださらないのにですか？｣

『いつも食べてるじゃないですか』

｢アレはお弁当とは言いません｣



あ、また下がった

私が持っていたマグカップを奪い、机の上に置くと、今度は膝まづいて私の左手に口付けをし始めた


指の先から間まで、手の甲だけでなく手の平まで

指輪の付け根もペロリと舐め取られる



『んふっ…くすぐったい』

｢我慢してください。A様が悪いのです。｣



オペラさんが両手で私の左手を弄るので、空いた右手で彼の頬を撫でたら少し機嫌が戻った

ほんと、猫みたい…



｢A様…｣



ガトーショコラみたいに甘く、重く私の名前を呼ぶ時は決まっている



｢我慢なりません｣

『もう？』

｢無論。｣



そんな当たり前かのように言わないでよ

入間くんにはその本能は向かないの？



｢私はA様の使い魔ですし、A様の味を占めてしまいましたから｣

『…するの恥ずかしいんですけど』

｢可愛らしいですね｣



普段表情が変わらないくせに、こういう時だけ目と口が弧を描く


最近分かったことなんだけど、どうやら私はギャップというものに弱いらしい


早く終わらせてくださいね

目を瞑ってオペラさんが来るのを待つ



･



私たちは定期的にキスをしている


その理由としては、人間の味を知ってしまったが故、欲しくなるのだという

そこにこれといった感情は無いし、オペラさんも本能だと言うからそうなのだろう

私にも多少の原因はあるから拒む事もできない

恥ずかしいけどね！！！！

1度ちゅーした仲だから開き直ってるところもある


最初は触れるだけ

数回触れたら、今度は軽く唇を食まれる


力が抜けて僅かに口が開くと、今度はヌルりとオペラさんの薄い舌がゆっくりと入ってくる


＿＿＿筈だった





ノック音が聞こえ、距離をとったオペラさんはあからさまに不機嫌になり

どうぞとドアの向こうに声をかけると、入間くんが戸惑いながら扉を開けた



｢あれ……もしかしてお取り込み中でした？｣

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