誑かすのは好きですが、“あくま”で人間相手です。【2】

←61話 ページ11

出口で見送りしたら、隣の演劇の隣の師団から｢おーい｣と入間くんが呼ばれた


随分とイカついひと…悪魔だけど、いつの間に知り合ったの！？


話を聞いていれば、どうやら師団見学の時にスカウトされたらしい。

｢入間くんの実力が惜しいと思った自分が恥ずかしい｣
と言った先輩が、お詫びと言ってはなんだが、と遊んでいって欲しいと言う



｢入間くんのお姉さんも良ければ｣

『えっ、いいんですか？』

｢もちろん！！｣



それじゃあ1番簡単なのにしようかな


えいっ、と投げてみたら運良く的に当たってヒビが少し入った

うん。的に当たるだけマシなんだ、私の場合は。

ボール系は苦手だから……



｢おめでとう！ここから好きなの選んでくれ！！｣

『でも、壊れては…』

｢女の子は特別だよ！｣

『いいんですか！？ それじゃあ ありがたく頂きます！』



差し出された箱の中には いくつかストラップがあって、黒念子のやつを手に取った。

かわいい、家に帰ったら鞄につけよ



｢入間くんもどうだい？鉄の的は手強いぞぉ！｣



先輩が自慢げに言った瞬間、破壊された

それはもう、ドゴォンという効果音付きで。



『オペラさん…』

｢1等です。｣

｢すみません、すみません…｣



ストラップを貰って喜んだのも束の間

もう何も言えない。


真顔で喜んでいるオペラさんに、目玉である1等(しかも自信のあった鉄の的)を本祭開催早々に取られ嘆いでる先輩、

そしてその先輩にひたすら謝っている入間くん…。


気まづくて先輩の顔を見れないよ…



その後もオペラさんは池釣りで大目玉の主を釣り


大きいボーリングでは1発で全て蹴散らし


金魚すくいでは全部取っていく


弓のゲームでも全て的に当て(ほぼど真ん中)、今現在進行形で店員さんに｢勘弁してください｣と泣きつかれている



｢また1等を取ってしまいました｣

｢オペラさん凄いですね！｣

｢もうっ！昔っから手加減しないんだから｣



“取ってしまった”だなんて、なんて言い草なのだろう

絶対本気で取りに行ってたじゃん！

表情一切変わってないじゃん！！


入間くんからは賞賛の眼差しを、

サリバンさんからは誇らしげな言葉を、

そして店員と他のお客さんからは絶望と引き気味なオーラを出させて満足気に耳をピクピクと動かしている



｢A様｣

『はい』

｢こちらも1等です｣

『そうですね、凄いです』

｢……。｣


なんですかその顔は！！まさか物足りないと！？

←62話→←←60話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す