貴方はカモ

16話 ページ18

今夜、我妻さんに逢引しようと誘われた





変な格好ではないだろうか？大正時代の流行だなんて知らないよ、わたしは。







『お待たせしました』

｢……｣




あれ？私を見た途端黙り込んだ


こういう時って似合ってるよとか、なんか…ないの？









『変でしたかね』

｢ちがっ…その、思ってた以上に綺麗で｣

『そう、ですか。ありがとうございます』

｢とても似合ってる。行こっか｣

『はい』






なんだかギャーギャー(汚い高音)騒いでた我妻さんの印象が強すぎて今の落ち着いている彼が色男に見える


元々顔は整ってるからね









｢どうして、Aちゃんはあの人からの求婚を受け取らないの？｣

『それは、村のある一人娘が彼のことを好きだからですよ』





｢Aちゃんは納得してるの？｣

『えぇ、血縁関係を気にしているこのご時世ですからね。彼は村で優秀な方に加え権力のある人。あるお嬢さんは有名な家系の末裔。私は実親を知らない甘味処の看板娘、異論はありません』




｢そこにAちゃんの気持ちは？｣

『無いです。元から』






赤ずきんとオオカミの会話のように質問に対して回答を返す




いつの間にかお花畑まで来てしまったみたいだ




満開の花々が満月に照らされてとても綺麗



きっとこの世界に来なければ、
我妻さんが連れて来なければ、


生涯見ることは無かっただろう

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