STORY.5 ページ5
平野side
「あなたはほんとにいい子ね」
両親は兄のことをそう褒める
その光景を見ながら
なんでお兄ちゃんだけ、なんて
思ったことは無かった
俺のは両親は会社を経営している
お兄ちゃんは長男だから
跡継ぎになる
だからお兄ちゃんだけ褒められて
お兄ちゃんだけ構われて
当然のことなんだと幼い頃から思っていた
異変を感じ出したのは小学校に上がる頃
俺はお兄ちゃんと同じ学校には行かず
近所の学校へ行った
お兄ちゃんは車で登下校
俺は毎朝お見送りもない
1人やけに大きい家を出て
歩いて学校へ通ってた
そう言えば俺は親に褒められたこともない
1度お母さんに聞いたことがある
「なんで僕はお兄ちゃんと学校が違うの?」
そう言うとお母さんは言った
「お兄ちゃんの方がいい子だから」
ああそっか、
僕はいい子じゃないんだね、と
親はお兄ちゃんを跡継ぎきするのに必死だった
俺は" 邪魔者 " だった
だけどおばあちゃんだけは
俺を叱ってくれたし
おばあちゃんは俺に愛をくれた
今思えば俺は
親から一度も褒められたことも
叱られたこともなかった
おばあちゃんは俺にもお兄ちゃんにも
平等に接してくれた
買い物に行く時も
同じ分だけ買ってくれたし
3人一緒に手を繋いで買い物してた
おばあちゃんのおかげか
俺とお兄ちゃんの仲はすごく良かった
.
なのに
中学生の頃
おばあちゃんが亡くなったお葬式
兄は泣かなかった
どうして泣かないのかと聞くと
.
.
" 俺はあんなばばあ嫌いだったよ
お前と仲良くしてればなんでも買ってくれたし
お母さんに言えばなんでも買ってくれたけど
お母さんは勉強でいい成績を取らなきゃ
なんも買ってくれなかった
だけどおばあちゃんはいつでも何でも買ってくれた
財布程度にしか思ってなかったよ
財布が無くなったのはちょっと悲しいけどな
お前もそうやろ? "
.
.
絶望した
そんな風に思ってたんだな
俺はその場で兄を殴り
式場を飛び出した
当たり前のように追いかけてくる人はいない
それから俺は
人は裏切るものだ
例え家族でも
家族でも裏切るのなら
友達なんて裏切りの連続
信用するだけ無駄
これが俺が人を信用するのをやめた理由
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ないと - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2017年11月2日 22時) (レス) id: a081d20ce8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:KiKiRaRa ゚ | 作成日時:2017年10月17日 19時