向日葵 (ページ26)

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STORY.26 ページ26

平野side

なんでこうなんのやろな、

いつもいつも

一番欲しいものは手に入らなくて

守れない

小さい頃好きだったクマのぬいぐるみ

でもそれは

女っぽくてキモいって兄貴に捨てられて

お気に入りのゲームソフトも

俺より攻略してるのが憎たらしいって

兄貴にデータを消された

でもそんなことはまだマシだ

俺が喚けば大事になるけど

黙っていれば済む話で

いつも下唇を噛んで

下を向いてこらえてた

でも、

キミだけは譲りたくない

だけど

俺なんかより

優しくしてくれる大切にしてくれる

廉といたほうがいいに決まってて

また俺は手を引っ込めて

諦めるしかない

.

放課後、屋上で昼寝をする

ここで何も考えずにそうしている時が

現実から逃げているようで落ち着いて

すごく楽になれる

ばんって音がして

振り返ると、廉が入ってくる

「……なに？」

「お前こそ…
あいつ、泣かせといて、こんなとこで」

「…俺にはもう、関係ないから」

「…っ、は？」

「…あんなやつ、もう何でもないよ
好きにしたら？もういらな…」

言い終わる前に

頬にあたる鈍い感触

廉の拳が俺の頬を殴り

そのまま倒れ込む

「…っ、なに、すんだ、よ…」

「そんなのこっちのセリフだよっ！！！！」

廉は大声で叫び

俺の胸ぐらをつかむ

「好きやったんやないん！？
なんで、なんで、」

廉はそのまま

俺の前に座り込み

灘れるように泣いた