夜を操る者たち 肆 【鬼滅の刃】

佰伍拾参夜 ページ10

―清華静真視点―



炭治郎くんに今のAの状態を見られてしまった

まさか月子に変わっている時に見られてしまうとは…



しのぶちゃんには上手くごまかして貰って
単なる体調不良と説明して貰っていたから
安心しきっていた



まさか中庭に出ていた時に鼻歌で気づかれるとは…
うかつだった…



自分の浅はかさと、まさか彼に知られるとは思ってもみなくて
頭を若干抱えながら考えた末に炭治郎くんには説明せざる終えないと考え
しのぶちゃんの部屋へと誘導させて彼に思い切って打ち明けてみることにした



「今のAはAであって、別人です」



僕のこの一言で彼は口を開けたまま目を見開いて心底驚いた顔をした



「「……」」



お互いしばらく沈黙が続いたが
僕は彼の返しを待ってみる事にしたが、いつまで経っても
返答は返ってこない



えっ…大丈夫…？



本気で心配になってきた時、彼がようやく口を開いた



「ど…どういう事ですか…？」



散々溜めて返ってきた言葉がこれだった
しかも、頭に？？？とたくさん浮かんでるのが安易に想像つく顔で



「はぁー…」

僕は人一倍大きなため息を吐いた後、炭治郎くんに向き直った

「分かりました、始めから説明します」

”良く聞いててくださいね”
と言うと僕は数日前の話から話し始めた



時は遡る事、数日前へと戻る…―



その知らせは突然来た


しのぶちゃんの鎹烏から”至急蝶屋敷二来イ”との知らせを受け
Aに何かあったに違いないと確信した僕は終わりかけだった任務の残務を他の剣士へと任せ
蝶屋敷へと足を速めた


蝶屋敷へと着くと、しのぶちゃんが複雑そうな顔でこちらを見つめていた


その顔で全て僕は悟った


恐れていた事が現実になった…―


「”彼女”は…？」
「部屋に…―」

僕の質問にしのぶちゃんは短くそれだけ返すと
目線を部屋へと続く扉へと向けた


そう、そこは昨日任務前にAと最後にあったあの病室だ…


扉の前に立つと喉を一度鳴らし静に僕は呟いた


「しのぶちゃんは御館様と他の柱の人への連絡をお願いできるかな…？」


僕の言葉にしのぶちゃんはそっとその場を立ち去った


それを見計らい僕は静に扉を開ける…―

と、そこには綺麗な髪をなびかせながら窓に顔を向け楽しそうに外を眺める姿があった


その姿は確かに昨日会った愛しい妹…Aに間違いは無かった


無かったはずなのに…―
彼女から漂う雰囲気、表情が


Aとは別物だった

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