夜を操る者たち 肆 【鬼滅の刃】

佰肆拾玖夜 ページ5

『…はっ…！！』

目が覚めた私の視界一面に広がった風景は天井だった
そして、そのまま目の覚ました勢いで私はがばりっ！と起き上がる

『はぁっ…はぁっ…！』

自分でも分からないが息があれている
整えなければ…

肺に思いっきり空気を取り込み深呼吸で整える

「あっ、目が覚められましたか？」

そんな私に上から声が降ってくる

”まだ顔色がよろしくないですね、それにうなされていたのか寝汗まで…”
見上げると扉を開けて入ってきたしのぶ様が立っている

全然気づきませんでした…

『あっ、あのっ…私っ…―』
「訓練中に倒れられたんですよ」

まだ息が完璧に整っていない状況の中で言葉をつなげようとする
しかし、思いのほか上手く言葉が出てこない
そんな私を見通してか、しのぶ様が先に説明してくださった

『えっ…』
「カナヲと訓練したところまで覚えていますか？」

しのぶ様に言われ思い返してみる

そんな私の表情で理解したのかしのぶ様が続けてくださる

「カナヲの腕をつかんだ瞬間急に意識をなくされたようですよ」

そう言われて納得した

そう言えば私の記憶もそこで途切れています…

「Aさん？」

しのぶ様は言葉を続けるとそっと私の近くへと腰をかけられる
そして、そのまま言葉を続けられた

「倒れた時に…何か見たり思い出したりしませんでしたか…？」
『えっ…何か…とは…？』

しのぶ様の言っている”意味”が分からずそのまま首を傾げた

「例えば…夢とか…見ませんでしたか？」
『夢…』

しのぶ様に言われた事をそのままオウム返しに呟き思い出してみる

が…―

ズキンッ！

『痛っ…！！』

思い出そうとすると頭が割れそうなほどの激痛に襲われる

『いっ、痛いっ…！！』
「Aさん？！」

そんな私の様子に驚き慌てた様子で私を抱き留めるように優しくしのぶ様の腕に包まれた

何故でしょう…見たはずなのに…

見た感覚はあるのに…―

『思い出そうとすると頭がっ…―』
「もう大丈夫ですよ！無理に思い出そうとしなくても」

”無理をさせてしまい申し訳ない事をしました”と眉を下げて謝ってくださるしのぶ様

ご心配をかけてしまっています…

『私こそ申し訳ありません』

その後私の痛みが落ち着くまでしばらくしのぶ様が付き添ってくださった

「落ち着いたみたいですね、また来ますAさん」

しのぶ様にそう告げられ私は振り返ると

『私は、”月子”です』

と無意識で返していた事に私は気づいていなかった

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