夜を操る者たち 肆 【鬼滅の刃】

佰肆拾陸夜 ページ2

―竈門炭治郎視点―



「「「…」」」

Aの速さに俺を含めた善逸と伊之助の3人は唖然としていた

俺たちでもあの速さについて行くのに数日はかかった…

なのにAはどうだ…

訓練初日で説明を受けただけで理解して体がそれに順応していた

『しばらく静養していたものですから心配していました』

”勝てて良かったです”何て言いながらいつもと変わらない笑顔を向けるAに更に驚きを覚えた

この速さで劣っているのか…？
だとしたら、静養前のAの速さは…―

『次、どなたもされないんですか？』

驚きとAのすごさに唖然としていた俺の耳にAの声が届いて現実に引き戻された

「あ…いやっ…」

あまりの衝撃に問われた事に対してきちんと返答できないでいた

「次は俺様だ！」

そんな俺とは反対に意気揚々とした感じで伊之助が答えた

すごいな、伊之助は…
圧倒された中でもこうやってすぐ切り返せるのか

感心している俺をよそに、伊之助は意気込みながら
”見ておけ！これが親分の力だ！”なんて言いながらAに顔を向けてカナヲの座る机へと向かっていた

『はい、しっかりと見学させていただきます！』

Aが見守る中、伊之助がカナヲに挑戦するも…―

バシャッ！

結果は前回と同じで見事に薬湯の入った湯飲みをカナヲが持ち
音と共に伊之助の顔にかけられていた

「ちくしょーっ！！」

怒り狂う伊之助をよそにカナヲは変わらない表情でたたずんでいた

やっぱりカナヲにだけは勝てない…

改めて思い知らされた強さに俺は心の中でため息をついた

『次、私が挑戦させていただいてもよろしいですか？』

そんな中、さっきまで伊之助の近くで見学していたAが手を上げて挑戦の意を示した

「なっ？！」
「Aちゃん？！危険だよ！」
「さ、さすがに1度見ただけじゃ…―」

慌てて止めに入る俺たちをよそにAはきょとんとしていた

『大丈夫ですよ？カナヲちゃんの動きは1度見ましたから』

いつものニコニコとした愛らしい笑顔を浮かべながらすっ…とカナヲの前へと座る

『カナヲちゃん、お手合わせよろしくお願いします』
「A…」

そのままカナヲへと挨拶するA
カナヲは軽く名前を呼ぶと2人は目線を軽く合わせた

「「「…」」」

2人の訓練に俺、善逸、伊之助の3人の間に緊張が走る
周りを軽く見ればアオイさんやきよちゃん、すみちゃん、なほちゃんも見守っていた

ぱしっ！…たんっ！
…こつんっ…

それはまさに一瞬だった

佰肆拾漆夜→←佰肆拾伍夜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す