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佰参拾壱夜 ページ35

―竈門炭治郎視点―

それからどれくらいたっただろう

善逸の泣き声も聞こえなくなっていた

良かった、ようやく落ち着いたんだな

「善逸、起きてるか?」

俺はそれを見計らい善逸に声をかけてみた

寝息は聞こえていないから多分起きているはずだ

「何…?」

案の定俺の問いかけには答えず用件を聞いてくる善逸の声が返ってきた

「善逸に言っておくべき事がある」

俺はそこまで言うと”聞いてくれるか?”と問いかけた

「うん、分かった」

俺の言葉に返事してくれる善逸に”ありがとう”とお礼を言うと言葉を続けた

「Aについての事なんだが…―」
「…」

俺の言葉に無言で善逸は聞いてくれていた

「俺は…その…―」

改めて今日気づいた感情の事を誰かに話すというのは恥ずかしいものがある
しかもこんな感情に陥ったのは初めての経験だからなおさらだ

しかし、善逸にだけは伝えておかなければいけない

何故なら善逸も俺と同じ感情を持っている同士だからだ

いわば友人であり好敵手とも言える

だからこそ俺はちゃんと俺の意思を伝えて正々堂々とする必要があると考えた

「俺は…―俺も、Aの事が…す…―」
「言わなくても分かってる」

俺が意を決し伝えようと思った言葉は善逸により遮られてしまい最後まで口にする事はなかった

「えっ…善逸…?」

善逸の言葉に俺の方が驚く番だった

「炭治郎の音で分かってた」
「善逸…」

善逸のその言葉で俺は納得した

「炭治郎の音…Aちゃんといる時とか、Aちゃんの名前が出る度に普段と違ったから」
「うっ…」

そうだったのか…音に出てしまっていたなんて…

「炭治郎わかりやす過ぎ…多分気づいてないの炭治郎本人と相手のAちゃんと伊之助くらいだし」

善逸はそう言うとちらりと隣で熟睡している伊之助へと目をやった

「そ、そんなに出てたのか…」

善逸の言葉に顔へと熱が集まるのを感じ恥ずかしくなった

そんなに分かりやすい態度をとってしまっていたとは…

今後仕事に私情を挟まないように注意しないといけないな…

俺は長男だから我慢だ…

「俺も改めて再確認させられた」
「え?」

俺が恥ずかしがっていると善逸がぽつりと呟いた
それに俺は聞き返す

「この間の那田蜘蛛山での時…」

そう言って思い出す様にぽつりぽつりと語り始めたのだった

佰参拾弐夜→←佰参拾夜



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エラ(プロフ) - 栞乃さん» 誤字指摘ありがとうございます!確認してたのに気づいてませんでした笑 (2021年1月9日 22時) (レス) id: 2ccec68a2d (このIDを非表示/違反報告)
栞乃(プロフ) - 玖拾捌夜のヒノカミ神楽「演舞」ではなくて「円舞」ですよ! (2021年1月9日 22時) (レス) id: 8c5f3cdf03 (このIDを非表示/違反報告)
エラ(プロフ) - 桜蝶さん» 返事が遅くなり大変申し訳ありません。ありがとうございます。そうなんですね!3つも執筆しているなんてすごいですね!私は1つのシリーズでも大変だと思ってるのに…笑 支障がなければで大丈夫ですよ! (2020年6月26日 14時) (レス) id: 8b38394c2b (このIDを非表示/違反報告)
桜蝶 - とても面白いですね! 更新、頑張ってくださいね? 鬼滅の刃にハマっていて私も鬼滅の刃の小説を3つ書いてます。←良かったら教えますか? (2020年6月1日 20時) (レス) id: f12d7ff414 (このIDを非表示/違反報告)
エラ(プロフ) - 有栖さん» メッセージありがとうございます!私も早く絡ませたいです!道のりまだまだ長いですが…笑 (2020年5月21日 21時) (レス) id: 8b38394c2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エラ | 作成日時:2020年4月23日 20時

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