夜を操る者たち 参 【鬼滅の刃】

佰弐拾参夜 ページ27

―竈門炭治郎視点―

「竈門炭治郎くん、君に一言言いたい！」
「は、はいっ！」

俺を指さしたまま静真さんは言葉を続ける

「僕にとってAは可愛い継子である前に可愛い可愛い妹だ」
「…はい」
「だから！」

静真さんの言葉に俺は何を言いたいのか分からずとりあえず返事を返した
それに続ける様に静真さんは更に指を俺の方に近づけ続ける

と言うか、今可愛い何回言ったんだ…？

「”相手”ともなると厳選に厳選を重ねて…と思ってる訳ですよ！」
「…？」

静真さんの言葉を理解できず首を傾げる

何が…言いたいんだろうか？
”相手”って何の事だ…？

「第一条件として、Aを守るためには十分な力が必要！だから最低でも僕より強い人じゃないと困ります」
「…あのー、何の話ですか？」

意味が分からずついに俺は尋ねる事にした

さっきから何の話をしているんだ？

「まだ明確には気づいてないのか…」

俺の言葉で何かを感じ取ったらしくぽつりと独り言を呟く静真さんに俺は更に首を傾げた

「まぁ、いずれにせよ僕は厳しいですから！」

そこまで言うと俺の方へと向けていた体を反対へと向けると数歩歩き出した

そして少しこちらに振り返ると

「お礼を言うならAに言ってくださいね、炭治郎くん」

”本当の恩人はAですよ”それだけ言うと歩いて去ってしまった

「はっ…！」

しばらくその姿をぼーっと眺めている俺だったが意識を戻し慌てて踵を返した

「Aの所に戻るんだった！」

本当は駆け足で戻りたい気持ちを抑え早歩きでAの待つ病室へと向かう事にした

早くAに会いたい…！

早くAに会ってお礼を言いたい！

早くAと言葉を交わしたい！！

そうだ！禰豆子にも会わせよう！

きっと禰豆子も喜ぶに違いない！
それにAも禰豆子に会えば喜んでくれるはずだ！

どんな反応をAは示してくれるんだ？

色々と考えが巡りこの先の事が楽しみになっていた俺
そして何よりも…――

俺と禰豆子を信じてくれてありがとう、A

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