夜を操る者たち 参 【鬼滅の刃】

佰捌夜 ページ12

―竈門炭治郎視点―

「静真、それはどういう事かな…？」

御館様も理解できないのか聞き返している

「そのままの意味です」

御館様の問いかけにも笑顔を崩さず一言そう言い放つと
とどめに“僕たちも腹を切る…と言う事です”とさらりと至極当然かの様に付け加えた

「切腹するから何だというのか…」

みんなが驚いて何も言えずにいる中、俺を押さえつけたままの男性が声を上げた

「死にたいなら勝手に死に腐れよ！」

大声でそう叫ぶと隣にいた静真さんを一睨みした
そして、”静真、てめぇもだ！”と言い放つ

「何の補償にはなりはしません！」
「実弥くんは相変わらず厳しいね」

そんな言葉にも変わらず間の抜けた声と笑顔で返答を返す静真さん

「不死川の言うとおりです！人を食い殺せば取り返しがつかない！殺された人は戻らない！！」

柱の人たちも同意見の様で、鱗滝さんの手紙でも賛同の声はなかなか上がらない
そんな結果に俺は申し訳なさでいっぱいになった

「確かにそうだね」
「では…―！」
「御館様！」

御館様の納得する様な口ぶりに柱から期待が集まる

「人を襲わないという補償はできない…証明ができない…ただ、人を襲うと言う事もまた証明はできない」
「うぐっ…！」
「過去の事なら証明できますよ」

御館様の言葉に言葉を詰まらせる柱の人たち
そんな中でまた声がしたと思えば再び静真さんが口を開いたのだった

過去の事を証明するって一体…―

俺が困惑している中で静真さんはちらりと一瞬俺を見ると

「竈門炭治郎の初任務からの動向、調べさせていただきました」

と言った

俺を調べた…？
初めての時からずっと…？

「隠を使ったんだね」

更に困惑する俺を差し置き御館様は察した様に返事を返す
それに”お手数おかけいたしました”と相変わらず笑顔で返す静真さん

一体どういう事か…意味が分からない…！

「彼の言った事は事実かと…―」
「どうしてそんな事が言える？！」

静真さんが結論を言い終えると更に俺を押さえつける手に力を入れそれにくってかかる

「最終、僕がちゃんとこの”目”で見たからだよ」

急に声色が変わったかと思うとすっ…と顔を横に向け
”意味、分かるよね？実弥くん”と変わらない笑顔で返した

しかし、その声色は先ほどの間の抜けた声とは違うように感じた

この人…一体何なんだ…？！

佰玖夜→←佰漆夜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す