夜を操る者たち 参 【鬼滅の刃】

玖拾捌夜 ページ2

―竈門炭治郎視点―

俺は今絶体絶命の状態にいた

刀が折れ、それでも十二鬼月であるこいつを倒すと決めた俺

それでもあっさりと禰豆子を取られてしまった
そして、頭上で縛り上げられ血だらけで叫ぶ禰豆子

助けてやりたい！
俺は禰豆子の兄だから…！

最後の力を振り絞るように俺は全身を研ぎ澄まし
呼吸を集中させた

そしてやっとの思いで切れることのできた糸

だけど、更にこいつは血鬼術でより強固な糸を生み出した

絶対負けるわけには行かないのに…！
死ぬ…
負ける！

そう思った時、昔の思い出が走馬灯のよ様によみがえってきた

そして、俺の頭の中で映し出されたのは父さんから教わった技だった…―

”約束なんだ”

最後に父さんの声が聞こえた気がした

その瞬間俺は…―

「ヒノカミ神楽…―」

無意識に

「円舞！」

口に出し唱えていた

俺が唱えた瞬間水の呼吸だった技は一気に火をまとい、糸が切れた

そんな俺に糸で攻撃してくるが俺は止まらなかった

止まるな！
走り続けろ！

今止まれば水の呼吸からヒノカミ神楽の呼吸に無理矢理切り替えた跳ね返りが来る！

そうしたら、俺はしばらく動けなくなるだろう…

だから、今やらなければ！
走れ！禰豆子を…Aを守るんだ！

「やぁぁっ…！！」

そして俺は力一杯走り、禰豆子の血鬼術と共にこいつの首を切った…

はずだった…―

しかし、現実は違った…

安心しきった俺は力を失った
そんな俺の鼻に強烈な血の匂いがしたかと思うと
目の前でまだ生きて姿を現した

俺が首を切る前に自分の糸で首を切り回避したと言う

「何の未練もなくお前たちを刻めるよ」

正しい呼吸なら…どんなに疲弊していても関係ない…！

「血鬼術 殺目篭」

しかし、呼吸を整えようとする俺にさらなる血鬼術を仕掛けてきた

焦るな！
息を乱すな！
落ち着け…落ち着けば…！

俺は力を再び振り絞ろうと試みるが腕が上がらなかった

容赦なく迫り来る攻撃に俺の体は更に血を流す

もう…こんなんじゃ…―

俺の頭の中に再びAの顔が浮かぶ

”炭治郎くん”

そう呼ばれた気がした…―

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