夜を操る者たち 弐 【鬼滅の刃】

漆拾捌夜 ページ31

あれからしばらくして医師から一言

「完治です」

と伝えられた

骨折していた腕を軽く動かしてみる

うん、痛くないです！

自分で傷つけた手のひらもそっと見てみる
そこはうっすらと瘢痕になっていた

『ありがとうございました』

私は頭を下げ医師に告げる
そしてそのまま立ち上がり隣の部屋にいる炭治郎くんと善逸くん、伊之助くんの元へと行く

「あ、Aちゃん！」

私が部屋を尋ねたことにいち早く気づいてくれたのは善逸くんだった

「A、どうだった？」
『はい、無事完治しましたよ』

善逸くんの声で炭治郎くんが振り返り私に問いかけてきた
私はそれに笑顔で応えると炭治郎くんも”そうか、良かった”と笑ってくれた

「これで堂々と勝負ができるな！」

伊之助くんはどうやら早速勝負をしたいらしい…

あれほどだめだって説明したのに…

私が苦笑いでどう返答しようか悩んでいた時だった

カァーカァー！

私と炭治郎くんの鎹烏が飛んできたのでそれぞれ鎹烏を手に乗せる

「北北東！！北北東！次ノ場所ハ北北東！！3人ハ那田蜘蛛山ニ行ケ！那田蜘蛛山ニ行ケ！」

炭治郎くんの鎹烏がそう告げる

うん？今3人って言いました？
と言うことは…―

私が思っていることは3人と一緒だったみたいで3人は私の顔を一斉に見た
そして私と一緒にそのまま私の鎹烏へと目を向ける

「A、至急清夜屋敷ヘ向ヘ！清夜屋敷ヘ向ヘ！」

清夜屋敷って…

「えぇー！Aちゃんと離れちゃうのぉ？！別々になっちゃうのー？！」

鎹烏の伝達を聞き善逸くんが大声で叫んだ

『どうやら皆さんとはここでお別れのようですね』

私は困ったように笑うと炭治郎くんも同じく困ったように笑った

「勝負できねぇーじゃねぇか！」

伊之助くんは伊之助くんで勝負がお預けになったことに不満があるらしい

まぁ、元から勝負する気はないんですけどね…

私はそれを苦笑いで受け流し”では、準備してきますね”と3人へ伝えて用意されている自室へと戻っていった

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