160話 ページ36
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有一郎「じゃあAは...あの後、死んだんじゃなくて...」
クロウリー「ええ、この世界に突如として現れましたね。」
冷静さを取り戻した有一郎は、警戒心こそ解かずとも学園長の話をマトモに聞ける程までには回復した。
ベッドの傍らに腰掛け、彼女がここにいる経緯やこの世界についての説明を受けた。
有一郎はずっとAのそばに居た。血反吐を吐くほどの稽古の時も、柱合会議の時も、玉壺を破り記憶を取り戻した時も、黒死牟に胴を両断されでも尚刀を握り続けたあの時も。
ずっとずっと、傍にいたのだ。
短い人生を閃光のように駆け抜けた彼女。ずっとずっとそばで見守っていた。
追い返してやる。絶対に。そう思っていたのに。
彼女の輪廻は何故かこちらの世界に巻き込まれて捩れてしまった。
だがしかし、結果的にそのお陰で彼女は今生きている。
有一郎「...」
彼はスっと頭を下げた。
クロウリー「!?有一郎君!?一体何を...」
有一郎「____すみませんでした。」
クロウリー「へ、」
有一郎「あなた方の話を聞こうともせず、ましてや片割れの命の恩人に危害さえも加えようとしていた。
謝っても許されることじゃないことはわかっています。」
それでも、と。彼は頭を深深と下げ続けた。
リリア「...顔を上げよ、若い者。」
有一郎「...」
リリア「誰であろうと愛しき者に大事あれば冷静さなど失うものよ。
よいよい、元気があるのは良きこと。気が済むまで存分に噛み付くが良い!」
カラリとリリアは笑い飛ばした。
エース「いやそれもそれでどうかと思うけど...」
セベク「流石リリア様!!慈悲深く寛大であられる!!おい人間!リリア様の温情を有難く噛み締めるんだぞ!!」
げっそりとした表情のエースに、リリア様カッコよすぎリスペクトモードでピカピカツルツルのセベク。
あまりの差分に思わず有一郎は吹き出した。
有一郎「...っふはっ...」
ジャック「お、やっと笑ったな。」
有一郎「...え?」
ヴィル「みんなアンタのことも心配してたのよ。アンタにとっては前世?なのかしらね。ずっとAのことを守る為に自分を押し殺して来たんでしょ。」
有一郎「...っ」
レオナ「ガキはガキらしくバカみてぇに笑ってりゃいんだよ。」
有一郎は、キュッと拳を小さく握り、歯を食いしばって涙が零れないように踏ん張った。
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神楽 - え、ちょ、ん?神であらせられますか?一気見してもうほんとに好きな作品なのでコメント?させて頂きました!あのぉ本当にこの作品を書いてくださりありがとうございます私はもうこれがあるから生きているといっても過言ではありませんつまりはこれからも頑張って下さい (4月22日 23時) (レス) @page50 id: c039794659 (このIDを非表示/違反報告)
英伶奈(プロフ) - 初めまして!コメント失礼します!こちらの作品凄く大好きで愛読させて頂いております!番外編も是非見てみたいと思っています。宜しければパスワードを教えて頂きたいです! (3月16日 19時) (レス) @page50 id: 282fb023ab (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 死ぬほど泣きました。本当に素敵なお話でした。続き出来ましたらぜひ読ませていただきたいです。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (6月6日 0時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
ただの一般人 - す…すごすぎる…!!まさか「ユウ」に繋がるだなんて…!ここまで一気見でした…。生まれてきてくれてありがとうございますホントに…。もっと早く見つけたかった…!!!! (2023年4月7日 16時) (レス) @page40 id: c70cf10f64 (このIDを非表示/違反報告)
白郡(プロフ) - 最高でした!!日付跨いで一気見してしまった…神ですか?神なんですね?存在してくださってありがとうございます。何故この作品にもっと早く出会えなかったのか、、ちくせう… (2023年3月30日 0時) (レス) @page49 id: 91ba7dddf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいしいくじら | 作成日時:2021年4月14日 4時