It takes you away 【前編】

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あの部屋に送るまでの車内は
ずっと無言

俺 思ったんだけどさ
好きな人に会えるのに こんなにも悲しい顔する人っているのかな

いくら怒られるかもしれないってなっても
やっぱり会えるのは嬉しいもんじゃないの？



岳「ついたよ」



水族館で見た あんな笑顔
ヤットさんは何回見たかな
そんなことを考えると 嫉妬って感情が出てきて

帰したくない このまま連れ去ってしまいたい
なんて思ってしまう


あの部屋に入ると
今日は玄関まで出迎えることなく
ヤットさんは リビングのソファにドカッと
座ってた



保仁「また岳ちゃん？」

岳「すいません」

保仁「今日､何回もLINEしたのに既読にもならなかったけど､何してた？」



ヤットさんは立ち上がり Aさんに詰め寄る

そしてきっとAさんを叩くべく
右手を振り上げたから
思わずAさんの前にたち その手を掴んだ



保仁「岳ちゃん､悪いけど帰ってくんね？」

岳「無理です｡ヤットさん､Aさんは悪くないんです､今日 俺が誘いました｡」

『がっくん！』

岳「だから怒らないであげてください､俺が悪いんで…」

保仁「油断したね､俺｡篤人じゃなかったんだ？まさか岳ちゃんに裏切られるとはね笑」

『……違うの｡悪いのは私』

保仁「なんだよ､2人で庇い合い？そうゆうの一番イラッてくるわ」

『ごめんなさい…』

保仁「で？」

『会いたかったの､私が がっくんに会いたかったから 鹿島行ったの』



ちょっと…Aさん､それ言っちゃいけないやつじゃん
てか それも嘘じゃないの？

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