9 ページ9
･
聞き間違いかと思った
あたしの耳が正しいなら
彼は今、あたしに好きだと言った
「なに、言ってるの」
オオカミみたいな、鋭い目をした彼は
あたしを見て、笑った
「わからない？
好きって、こういうことだけど」
告げるやいなや彼はあたしの唇を塞いだ
初めてのキスに、動揺して
苦しくなって、彼を叩いたけど
離すどころか、激しくなるばかりだ
酸素を求めた体が唇を薄く開ければ
その僅かな間からヌルッとした
生暖かい、舌が滑り込んできた
「ん！？」
あたしの口から漏れる声に
気分を良くしたのか、彼は、口の中で逃げるあたしの舌を捕まえて、絡ませた。
多分、今、あたしはひどい顔をしている
こんな、気持ちのいいキスはしたことがない
あたしの舌をじゅっと吸って
彼は1度、あたしから離れた
あたしが息を整えようと必死になっているのを見て、彼は言った
「A、今のが初めてなの？
じゃあきっと、気持ちがよかったでしょう」
呼び捨てにされた
こんなふうに、遊ばれるみたいなやり方は
私のプライドが許さない
「正気なの、あなたアイドルでしょ
スキャンダルなんて、面倒なこと…」
言い終わる前に、彼はまたあたしにキスをした
さっきの、噛み付くようなやつじゃなくて
優しく、あたしをいたわるようなキス
「千斗。」
そう呼べと彼の目が告げていた
「何を…」
「言わなきゃ、わからない？
僕だけ呼び捨ては、不公平でしょう」
唇に、うっすらと笑みを浮かべて
あたしを見つめる彼の有無を言わさない雰囲気にあたしは逆らえなかった
「ゆ、きと」
「ふふ、そう。これからもきちんとそう呼んで。それで、返事は？」
ずるい、こんな聞き方は。
だってあたしは、断れない。
気づいてしまったから。
「好きでもないやつに、キスされて、黙っているほど弱い女じゃないわ」
可愛げもなく、言った
「へぇ、僕のことが好きなの」
余裕そうに笑った彼は
とっても、意地悪だ
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←8【Yuki】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
。 - 、さん» パワー (2018年3月21日 13時) (
レス) id: 0ea487d775 (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい (2018年3月2日 15時) (レス) id: 64f29cf6c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくらひめ | 作成日時：2018年1月30日 22時
