【刀剣乱舞】何も知らない貴方は幸せ (ページ6)

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６話ページ6

目眩…立ち眩み…倒れて…暗転。
それまでの記憶がない。
やがて私が目覚めると、真っ先に目に入ったのは目に刺さるような白だった。
しばらく呆然としていると、どこからか扉が開く音がした。

「Aさん、気が付きましたか。」

入って来たのは、白衣を着た30代前後の眼鏡をかけた男性だった。

『ここは…どこ？』

ぼーっと白い天井を見つめたまま、未だはっきりしない意識で聞く。
白衣の男は、この言葉を予想していたかのように頷いて説明した。

「ここは現世の病院ですよ。………」

…Aさんは霊力が低下しつつあります。
原因は今のところ不明ですが、貴方は常に霊力が不安定な状態です。
いずれ…近いうちに、Aさんは完全に霊力を失うでしょう。

＂完全に霊力を失う＂

それすなわち、死、をあらわす。

審神者は戦績により霊力を得る。
つまり心を閉ざしたあまり、長いこと出陣せずにいたため、霊力を消費する一方で得ることが出来ていなかったのだ。
審神者は本丸に居るだけでも霊力を消費する。

「つまり、単純に考えてもあと２週間が限界だと思われます。」

それは、突然の余命２週間という宣告だった。
いっそこのまま現世に留まるか？
本丸に戻って刀剣男士に別れを告げるか？
もう、２週間しかないのなら………。
何したって間に合わない。
もういいや。

そう、諦めた………………つもりだった。

その気持ちに水を差したのは、他の誰でもなく、あの白衣の男だ。
男は私が刀剣男士達に心を開けていないことなど知らない。
出来る限りもう会いたくないことも。
私のこと…何も知らないから、だから言うのだ。

「ひとつ、方法があります。」

…と。
もう、その後の言葉なんか思い出したくもない。
それでも私は、刀剣男士達に会わずに逃げるのは良くないと言われ渋々本丸へ帰った。
でも……………。