【刀剣乱舞】何も知らない貴方は幸せ (ページ1)

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１話ページ1

「俺は和泉守兼定。カッコよくて強い最近流行りの刀だぜ。」

その時、審神者が喜ぶと他の刀剣達も喜んだ。
それがぎこちなく見えたのは気のせいだ
…きっと。

私の本丸は、１年と半年を経てようやく兼さんこと和泉守兼定が来てくれた。
打刀ということもあり、鍛刀しやすいと思うのだが、来なかった。
私の霊力が不安定だからと言われた時は、少なからずショックだった。
それも初期刀の山姥切に…。
しかし、兼さんが来ないとのと霊力が不安定なのは関係無い。
そう、思いたかった。
兼さん以外のみんなが私を心配そうに見つめている。
確かに、私は霊力が不安定になりやすく、そのせいか体調を崩しやすい。
つい先日まで風邪で寝たきりだったくらいだ。
私の霊力は、とてつもなく不安定らしい。
それを知らない兼さんだけが、私に気安く接してくれる。
それが、嬉しかった。
だから、ずっと側にいて欲しくて…。
初めて山姥切を近侍から外した。
山姥切は呆然としていて、やっぱり近侍に戻してやろうかとも思った。
が、以前にひとつ不満があったからこれぐらいは大丈夫かと、自分に言い聞かせる。

…本当は、山姥切が好きで愛してるくせに…

なんて、知らない。
なんでもない。
心の底に隠した想いの扉に厳重な鍵を掛けた。