1．幽霊の兄ちゃんと大学生の私 (ページ32)

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第31話ページ32

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そういえば迎えに行くって、少年探偵団の皆はどこに出掛けてるんだろう？
そう思い、車の中で沖矢さんに聞いてみたけど「着いてからのお楽しみです」とはぐらかされて。
港に付き、ここからは船で移動すると言われた時は、目が点になりました。

そして現在、釣り場にいる子ども達の所に到着したところである。
私達が来たことに疑問を持った子ども達は、私に説明してくれたことを沖矢さんから説明を受けており、一方で、少年を盾に沖矢さんに隠れている哀ちゃんの姿も見えて。

不思議に思った私は2人の下へと歩み寄り、目線に合わせてしゃがみ込んだ。

「よっす少年。哀ちゃん。」

「こんにちは、Aお姉ちゃん。どうして昴さんと2人で？」

「(いきなり説明し辛い質問吹っ掛けんな…！？)
私の方が皆と面識あるし、少しでも(哀ちゃんが)怖がらないようにって。」

おいコラ、ホントかよみたいな顔すんな。嘘ついてねぇぞ私。

「…貴女、いつの間にあの人と仲良くなったのね…」

「まぁね。前にひったくりから荷物取り返して貰ったことあってさ。そこから顔見知りになったの。」

いつも冷静な雰囲気を醸し出している哀ちゃんが、どこか不安気な顔をしているのは初めて見るかもしれない。…やっぱり沖矢さんって怪しい人なのかな。

それとも…

…いや、“それ”は流石にないか。だって子どもだもん哀ちゃん。けど一応兄ちゃんに報告しとこ。

「…簡単に騙されそうな貴女に一応忠告しておくわ。あの人には気を付けた方がいい。」

「ん？？？これ遠回しなようで実は直接馬鹿って言われてる？？？」

(はは…言われてやんの(苦笑))

深刻な顔して実は普段通りだろ哀ちゃん。毒吐いてんぞ。…可愛いから許すけど(チョロい)
私だってそこまで能天気じゃないって。それにこれでも沖矢さんのこと探ってんだよ？全然収穫ないけど。

…と言えるはずもなく、私はとりあえず哀ちゃんの忠告を聞き入れておいた。

船に移動していないのは、話し込んでいた3人だけ。とりあえず子ども2人を先に船へ乗ってもらうよう促した。

2人が船に近づいたその時、哀ちゃんが足を段差に引っ掛けて

「あっ、」

「哀ちゃん！」

危ない、と手を伸ばそうとしたが、その前に沖矢さんが哀ちゃんを持ち上げていて。

「ダメじゃないか。余所見してちゃ。」

「え、えぇ…」

2人の間に妙な空気が漂っていたのに気付けたのは、果たしてどれくらいいただろう。