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第27話 ページ28






心なしか、探られているような気がする。




「あ、はい…昔から“広い視野を持て”って言われ続けているのが、多分…」

「そうですか。それなら勘の鋭さも頷けます。さぞかし頭の良いお兄さんなんでしょうね。」

「それはもう。勉強はお兄ちゃんに聞いてましたし。東都大学法学部の首席でしたから。」

「へぇ、興味深い話が聞けそうだ…お会いしてみたいものです。」

「はは…多分沖矢さんとお兄ちゃん相性バッチシですよ。」

「法学部首席で卒業された方と相性が良いというのは些か恐れ多いですが…」

「大学院で工学部学んでる貴方がそれ仰ります???」




あぁ、想像できる。お兄ちゃんと沖矢さんが、難しい話を楽しそうに話している姿が…(白目)




「私としてはどっちも恐れ多いですよ。」

「お兄さんと同じ大学で文学部を学ばれている貴女も、十分恐れ多いのでは?」

「特大ブーメラン吹っ掛けないで下さい。…あ、この先の十字路を右にお願いします。」

「分かりました。」




その想像のおかげで戸惑いながらも平静を保つことができ、違和感なく会話のキャッチボールができている。




「…ところで今更なんですが…自己紹介、まだでしたよね。」

「え、凄く唐突だし本当に今更すぎる。」




出会い方もあれだったし、挨拶しようにも蘭ちゃん達が事件を解決して欲しいって言って…気付いたらしてなかったわ、自己紹介。
こっちは蘭ちゃんの電話で沖矢さんのフルネーム聞いたけど、沖矢さんは私の苗字知らないんだよね…あ、だから名前呼びだったのか(今更)




「改めて、沖矢昴です。車の運転中で申し訳ないですが。」

「いえ、私も自己紹介遅れてすみませんでした。



諸伏Aです。」




一瞬、本当に一瞬で僅かにだった。



沖矢さんの肩がピクリと、反応したのは。

その変化に気付いたのを気付かれないよう、見て見ぬ振りをする。




「これも今更ですが、お名前でお呼びしても?」

「別に気にしなくて大丈夫ですよ?」

「工藤邸で推理している時、僕が名前で呼んでいたらAさん、固まっていらっしゃったので…嫌なのではと思っていたのですが…」

「あ、それについては全然。普通にびっくりしただけなんで。」

「そうですか…それは良かったです。僕の事も昴でいいですよ?」
「同じ大学に通っているし刺されるのが嫌なのと勘違いされるのが面倒なんで沖矢さんで(即答)(早口)」

「おや、それは残念だ。」

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作者名: | 作成日時:2022年7月4日 1時

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